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 「社員に自立を促し、変化に強くなってもらうにはどうすれば良いのか」――

 いわゆる「日本型雇用」を見直す動きが日本企業の間で急激に進んだこの1~2年。中でも目立ったのが、仕事の内容や勤務先を明確に定めずに雇用し、職能で給与を決める「メンバーシップ型」から、仕事の内容や給与を明確にしたうえで雇用契約を交わす「ジョブ型」への移行を検討する企業だ。日立製作所やKDDI、富士通など名だたる大企業がジョブ型に転換する方針を示した。

 ところが、議論が尽くされておらず、正解を求めて手探りで進んでいる領域がある。育成を含む人材活用だ。

 従来の一般的な人材活用は、若いうちは会社組織の中でさまざまな経験を積ませ、徐々に専門分野を定めると同時に責任を与えて組織を支える人材へと育てていくというものだった。これは、メンバーシップ型で年功序列の色彩が強い日本の雇用・賃金制度と深く結び付いていた。

 事業環境が安定していて過去の経験を生かせる時代は問題にならなかったが、グローバル化やデジタル化で事業に求められるものが目まぐるしく変わるようになった。

 加えて、少子高齢化に伴い新卒採用の難度も上がりつつある。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2010年代以降はおおむね120万人台で推移していた22歳人口は、24年には118万人と少しずつ減少し、30年には20年比で10.9%減となる。これまでは大学進学率の上昇によって大学卒業者の数は増えていたが、22年を境に減少に転じる。新卒採用の「2022年問題」ともささやかれており、企業の採用活動は競争がますます激しくなる。

大学入学者数(入学年度ベース)の推移と見通し。2022年卒を境に大学卒業者数が減少に転じる

 新卒の大量採用を前提に、「全員一律」「職場内訓練(OJT)」「ジョブローテーション」で人を育て、たまたま力をつけた人を登用してきた従来のやり方では立ち行かなくなる。

 背景には若年層を取り巻く教育環境の変化も影響している。今や子育てや学校教育の現場では個性が重視されるのが当たり前になりつつある。しかし、会社組織では「金太郎あめ」のように、年次に応じて画一的な人材教育を施す傾向が色濃く残っている。その結果、新人時代は皆が給料も低く、同じ育てられ方をするので、能力の高い新人が物足りなさを感じて辞めていく。

続きを読む 2/2 コロナ禍で問題が鮮明に

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