ヒンドゥー教の祭典「ディワリ」の前夜、多くの人でごった返すバンガロールの市場。インドの人口は、今年にも中国を抜いて世界第1位になると予測されている。(PHOTOGRAPH BY MANJUNATH KIRAN, AFP, GETTY)
ヒンドゥー教の祭典「ディワリ」の前夜、多くの人でごった返すバンガロールの市場。インドの人口は、今年にも中国を抜いて世界第1位になると予測されている。(PHOTOGRAPH BY MANJUNATH KIRAN, AFP, GETTY)

 世界の人口が10億人に達したのは西暦1804年頃。地球上にホモ・サピエンスが登場してから数十万年後のことだった。

 ところが、2011年に70億人になってから、80億人まで10億人増えるのにかかった期間はわずか11年。国連は、最新推計に基づき、2022年11月半ばに世界の人口が80億人に達したと発表した。

 80億人突破の日が正確に11月の何日かということはわからない。人口のデータが古い国もあれば、新型コロナウイルス感染症による死者数をすべて記録するのが難しい国もある。世界中の人口を一人ひとり数えるわけにもいかない。

 それでも80億という数字の重要性を強調するため、国連は2022年11月15日を「80億の日」と宣言した。医療、水質、衛生状態が改善されたおかげで病気の蔓延が減り、世界中で人間の寿命が延びている。肥料や灌漑により農作物の生産量も増え、多くの国で、出生数が死亡者数を大きく上回っている。

 しかし、人口増加によって人類が直面する問題は決して小さくはない。海洋汚染や乱獲によって、世界中の海の質が劣化している。開発、農業、林業によって森林やそのほかの自然環境が破壊され、野生生物は驚異的な速さで消滅している。

 いまだに化石燃料が中心のエネルギー体制は気候変動を引き起こし、生物多様性や食料の安全保障、飲料水や農業用水はかつてないほどの脅威にさらされつつある。

同時進行する人口爆発と人口崩壊

 世界では、同時期に別々の場所で人口爆発と人口崩壊という正反対の現象に直面している。

 中国では、過去2000年間維持してきた人口世界1位の座を今年にもインドに明け渡そうとしている。実際、1980年に一人っ子政策を取り入れる前から中国の出生率は減少し始めていた。教育と雇用の機会拡大に伴って、多くの女性が出産時期を遅らせるようになり、出産の機会も減っている。(参考記事:「中国の一人っ子政策が生んだもの」

 この傾向はパンデミック中に加速し、2020年に誕生した子どもの数は2015年比で45%減少した。中国の出生率は現在、米国のそれを大きく下回っている。

ナイジェリアのラゴスに暮らすエマニュエル・エウェーニケさんとンワケーゴ・エウェーニケさんは、11年もの間1部屋しかない家に4人の子どもとともに暮らしている。水道もなく、停電も頻繁に起こり、「非常に悪い環境」だと、エマニュエルさんは言う。(PHOTOGRAPH BY YAGAZIE EMEZI, NATIONAL GEOGRAPHIC)
ナイジェリアのラゴスに暮らすエマニュエル・エウェーニケさんとンワケーゴ・エウェーニケさんは、11年もの間1部屋しかない家に4人の子どもとともに暮らしている。水道もなく、停電も頻繁に起こり、「非常に悪い環境」だと、エマニュエルさんは言う。(PHOTOGRAPH BY YAGAZIE EMEZI, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 14億人という中国の人口も、もうすぐ減少に転じると予測されているが、実は既に減少し始めているという見方もある。労働者人口は10年間縮小しており、高齢者および未成年者1人を2人の労働者がやっと支えている状態だといわれている。2022年8月25日付けで学術誌「Nature」に掲載された報告書によると、今後25年以内に60歳以上の人口は3億人に達し、政府の資源が圧迫されるだろうと予測していた。医療費も、2倍になるという。

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