南オーストラリア州のウールベイ桟橋付近で、尾の下に卵をつけて運ぶリーフィーシードラゴンのオス。オスがメスから未受精卵を受け取り、受精させ、孵化の準備が整うまで抱卵する。(PHOTOGRAPH BY ALEX MUSTARD, MINDEN PICTURES)
南オーストラリア州のウールベイ桟橋付近で、尾の下に卵をつけて運ぶリーフィーシードラゴンのオス。オスがメスから未受精卵を受け取り、受精させ、孵化の準備が整うまで抱卵する。(PHOTOGRAPH BY ALEX MUSTARD, MINDEN PICTURES)
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 動物のオスとメスは、種を存続させるために、それぞれ異なる性的役割を担っている。性的役割という言葉には、交尾における役割という意味だけでなく、つがいになり、子育てをする際に果たす具体的な役割という意味もある。

 自然界で多いのは、オスの求婚者をメスが選び、生まれてきた子はメスが育てるかたちだ。しかし、肉眼では見えない菌類から、ジャングルに暮らす大型哺乳類まで、動物たちの繁殖や子育てのしかたはさまざまだ。ここで紹介するように、陸海空の動物に見られるその多様性は、動物の繁殖についてだけでなく、地球の生命のすばらしさを浮き彫りにしている。

オーストラリアのニューサウスウェールズ州で、孵化したばかりのひなに寄り添い、外敵から守るオスのエミュー。エミューの世界では、子育てはオスの仕事だ。(PHOTOGRAPH BY JAMI TARRIS, GETTY IMAGES)
オーストラリアのニューサウスウェールズ州で、孵化したばかりのひなに寄り添い、外敵から守るオスのエミュー。エミューの世界では、子育てはオスの仕事だ。(PHOTOGRAPH BY JAMI TARRIS, GETTY IMAGES)
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ハダカデバネズミ

 盲目で体毛のないハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)は地中にコロニーを作り、強大な力をもつ女王が数百匹の臣下を支配している。ハチやアリのコロニーと同様、ハダカデバネズミの女王は交尾と出産をする群れで唯一のメスだ。(参考記事:「動物大図鑑:ハダカデバネズミ」

 女王は繁殖相手となるオスの王を1匹または数匹従えており、子をもうける権利を与えている。コロニーのほかのメンバーは、頑丈な歯で巣穴を広げたり、女王の食事の世話をしたり、赤ちゃんの世話をしたりする。生物学者はこれを「極端な協同繁殖」と呼ぶ。

「ハダカデバネズミは哺乳類の協同繁殖において最も極端な例」とカナダ、トロント大学の行動神経科学者であるメリッサ・ホームズ氏は言う。「きわめて稀な例です」

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