米国のザリガニの仲間(Faxonius limosus)は、自然環境において見られる濃度の抗うつ剤にさらされると行動が大胆になり、捕食される危険性が高まる可能性がある。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
米国のザリガニの仲間(Faxonius limosus)は、自然環境において見られる濃度の抗うつ剤にさらされると行動が大胆になり、捕食される危険性が高まる可能性がある。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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 人間の治療に使われる抗うつ剤は、川や水路に入れば水生動物にも影響を与える。

 6月15日付けで学術誌「Ecosphere」に掲載された論文によると、川で実際に観察される現実的な濃度の抗うつ剤シタロプラム(一般にセレクサの商品名で販売)にさらされたザリガニは、えさを探す時間が大幅に増え、身を隠している時間が減ったという。こうした行動の変化で、ザリガニは捕食者から攻撃されやすくなる可能性があり、また、いずれは河川の生態系に別の影響が及ぶことも考えられる。

「行動が大きく変化したことに驚かされました」と語るのは、論文の共著者で、米フロリダ大学の淡水生態学者リンゼイ・ライジンガー氏だ。「変化は非常に劇的でした」

 実験は、自然環境を模した研究所内で14日間にわたり行われた。その結果、たとえば、抗うつ剤にさらされたザリガニ(Faxonius limosus)は、そうでない個体に比べて、えさを探すために隠れ場所から顔を覗かせる、また外に出てくるまでの時間が約半分になった。

 今回の研究は、自然を模した環境下でザリガニと抗うつ剤についての調査を行った初めての試みであり、こうしたタイプの医薬品汚染がどこまで広がり、どの程度の影響力を持っているのかに関して深刻な問題を提示していると、論文の筆頭著者で、米ケアリー生態系研究所の博士研究員として同研究に携わったアレクサンダー・J・ライジンガー氏は述べている。

米国ではほぼ8人に1人が服用

 シタロプラムは、世界で最も広く処方されている抗うつ剤である「選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)」のひとつだ。2015~2018年の米国では、ほぼ8人に1人がSSRIを服用していたと米疾病対策センター(CDC)は報告している。

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