デンキウナギ(と言っても本当はウナギの仲間ではない)は、800ボルト以上の電気を発生させて獲物の動きを封じる。(Photograph by George Grall / NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 目には見えないけれど、電気は私たちの周りのいたるところにある。たとえば人間は、筋肉を動かすときにも、弱い電場を発生させている。

 そうした電気をうまく利用して生き抜く動物たちがいる。コミュニケーション能力を発達させたり、身を守ったり、食べ物を見つけたりと、使い方も様々だ。

 電気を利用する動物が多く生息するのが、淡水の生態系。濁った水中で、視界の悪さを電気を使って補っている。よく知られているデンキウナギをはじめ、およそ350種の魚が電気を発生させる構造を持っており、発生する電圧は高いものでは860ボルトに達する。それに比べて家庭のコンセントはたった100ボルトだ。

 海の魚やイルカのなかにも、水中で狩りをするために電気を利用するものがいるし、あまり多くはないが、ハチやハリモグラのような陸生動物にも、電気を利用してエサを探したりコミュニケーションしたりするものがいる。

電気を発する生物、感知する生物

 動物が電気を使う方法は2通り。電気を発生させるか、電気を感知するかだ。

「電気を発生させる動物は、発生させた電気を体外に放出します」と、米ボルチモア国立水族館の生物展示責任者ジャック・カバー氏は説明する。このタイプの生物は、デンキウナギ、シビレエイ、アフリカの淡水ナマズやエレファントノーズフィッシュなど。いずれも獲物に高圧の電気ショックを与えて動きを鈍らせて狩る。

 一方、電気を感知する動物は、獲物から生じる微弱な電場を感じ取ることができる。「これで障害物や獲物(または捕食者)がどこにいるか、さらにはその大きさまでわかります」と米シェッド水族館の動物飼育計画・潜水運用ディレクター、ジョージ・パーソンズ氏は言う。

 サメは電気を感知する動物で、頭部にある「ロレンチーニ器官」と呼ばれる感覚器官を使って獲物を探し出す。「サメは筋肉の動き、とりわけ激しい動きによって生じる電場をとらえることができます」とパーソンズ氏。たとえば病気にかかった魚が苦しみのため暴れたりすれば、たちまちサメに見つかってしまう。

 電気を発生する動物の中には、デンキウナギやエレファントノーズフィッシュのように、電気受容器(電気を感知する器官)も持つものがいて、その能力を使って周囲にいる動物を見つけ出して狩りをする。

続きを読む 2/2 濁った水の中で狩りをし、身を守る

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