英アストラゼネカ社のコロナワクチンを充填した注射器。2021年3月22日、イタリア、ミラノの科学技術博物館にて。(PHOTOGRAPH BY ALESSANDRO GRASSANI, THE NEW YORK TIMES VIA REDUX)
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 米国では既に多くの人が新型コロナウイルスのワクチン接種を少なくとも1回は受けているが、1回や2回の接種で十分なのか、3回目、いや4回目まで受けなければならないのかと懸念する声が一部で上がっている。

 実際のところ、現在接種されているワクチンの効果がどの程度続くのかは、まだ科学者にもわからない。

 2019年末に初めて見つかって以来、コロナウイルスは何度となく変異を繰り返してきた。従来株と異なる変異株では、感染力や致死率が高まったり、今のワクチンが効かなくなる恐れがある。常にウイルス進化の先を行くために、ワクチンの開発者は変異株に対応できるワクチンの開発を急ぐと同時に、現在のワクチンの効果がどのくらい持続するのかを見定める研究も進めている。

 場合によっては、定期的にコロナワクチンを追加接種する新たな日常が始まるかもしれないと、一部の専門家は言う。

ワクチンの効果を保つ追加接種

 ワクチンの追加接種とは「既に接種したワクチンを再度打つというもので、免疫の働きがより高まります」と米国医師会会長で、アレルギー・臨床免疫学者のスーザン・R・ベイリー氏は言う。免疫系は、2回、3回と抗原(抗体作りを促す分子)にさらされることで、そのウイルスを記憶して、免疫の応答を強化し、長続きさせることができると氏は解説する。

 たとえば、米国で50歳以上の健康な人に推奨されている英グラクソ・スミスクライン社の帯状疱疹ワクチンは、1回目の接種から2~6カ月後に再接種すると、90%を超える確率で帯状疱疹やそれに伴う神経痛の発症を抑えられる。

 新型コロナウイルスに関しては、米ファイザー社と米モデルナ社のmRNAワクチンの場合、1回目の接種後、それぞれ3週間後と4週間後に2回目を接種することになっている。米ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンは1回のみの接種だが、現在は2回目の追加接種の有効性を確かめる治験を実施している(同社のワクチンはごくまれに深刻な血栓症を発症する恐れがあるとして、日本時間21日時点では米国での使用が一時中止されている)。(参考記事:「コロナワクチン接種後のごくまれな血栓症、治療は可能」

 ファイザーは2月に3回目接種の治験を開始しており、最高経営責任者アルバート・ブーラ氏は4月15日にテレビ局の取材に対し、1回目の接種から12カ月後に3回目が必要になる可能性が高いと話した。

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