2021年1月15日、レバノン、ベイルート南部のラフィク・ハリリ大学病院の集中治療室の廊下で祈る看護師。パンデミックによって世界各地のコミュニティは大きな被害を被っているが、ワクチン接種やウイルスの監視により、COVID-19はいずれ一般的な風邪に近い病気になるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY DIEGO IBARRA SANCHEZ, GETTY IMAGES)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今後の経緯として、長期的に見て最も可能性が高いのは、日常的な病気、つまりはただの風邪になるというものだ。

 具体的には、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は世界の大半の地域において、人々の間に慢性的に発生し続ける「エンデミック」の状態となり、その一方で重症化するケースは減る。最終的には、すでに世界中で一般的な風邪の原因となっている4種類のヒトコロナウイルスと同じように、主に子どもが冬にかかる軽い風邪へと移行するのかもしれない。

「おそらくは今後、十分な数の人がこれに感染し、また十分な数の人がワクチンを接種することで、人から人への感染は減少するでしょう」と語るのは、米ピッツバーグ大学ワクチン研究センター所長のポール・デュプレックス氏だ。「ワクチンを受けない人もいるでしょうし、地域的な大流行もあるでしょうが、いずれは『ごく普通の』コロナウイルスの一つになっていくはずです」

 しかし、こうした変化は一晩で起こるものではない。専門家によると、SARS-CoV-2のパンデミック後のシナリオに影響を与える主な要因は3つある。ひとつ目は、人間がこのウイルスへの免疫をどの程度長く保持できるかということ。ふたつ目は、このウイルスがどれほど速く進化するか。そして3つ目は、今回のパンデミックの間に、高齢者がどのくらい広く免疫をもつようになるかだ。

 3つの要因の推移によって、パンデミック後、事態がほぼ進展しない停滞期が数年間にわたって続く可能性もある。つまり、ウイルスが進化を繰り返し、地域的な大流行が起こり、新しくアップデートされたワクチンの接種が複数回繰り返される、といった状態になるかもしれない。

「このウイルスがどこかへ消えてなくなるものではないということを、理解しなければなりません」と、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの感染症疫学者ロイ・アンダーソン氏は言う。「現代医学とワクチンによってうまく制御できるようになるでしょう。けれど、窓の外に追い出せばそれで終わりというものではありません」

続きを読む 2/4 「ただの風邪」になるまでの長い道のり

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