ミシュテカの権力者が首にかけていたまばゆい黄金の胸飾り。メキシコ南部の古代都市モンテ・アルバンの墳墓から見つかった120点以上の出土品の一つ。(OLIVER SANTANA/RAICES)
ミシュテカの権力者が首にかけていたまばゆい黄金の胸飾り。メキシコ南部の古代都市モンテ・アルバンの墳墓から見つかった120点以上の出土品の一つ。(OLIVER SANTANA/RAICES)
[画像のクリックで拡大表示]

 複雑な模様が施された黄金の胸飾り。メキシコ南部の古代都市モンテ・アルバンで発見された120点以上の金細工の一つで、ミシュテカ文明の権力者が身に着けたものと考えられている。しかし、この胸飾りがもつ意味や、これが誰を表すのかについては今も謎に包まれており、研究者によってさまざまな解釈がなされている。

モンテ・アルバンの発見

 古代都市モンテ・アルバンがあるのはメキシコのオアハカ州。この地域に古代のさまざまな遺跡があることは、1930年に考古学者アルフォンソ・カソが発掘作業を始めるまで、ほとんど知られていなかった。

 山頂にあるモンテ・アルバンは、1000年以上にわたってサポテカ文明の中心地として栄えたと、カソは考えた。しかし、西暦700年ごろになると、この古代都市は衰退していく。

 やがてサポテカはこの都市を放棄。900年ごろには、ミシュテカがサポテカに代わって権力を握ることになった。ミシュテカ人による支配は、スペイン人による征服がこの地域に及んだ1521年まで続いた。

 ミシュテカは、サポテカが建てたモンテ・アルバンの建造物を再利用していた。王族の墳墓もその一つだ。カソは、そこにあった20の建造物と176の墓を発掘した。そして1932年、ある権力者の住居の壁の先で、7号墳墓を発見した。これは、多くの人々にメソアメリカ文明最大の発見と見なされている。

 この墓は1330年ごろのもので、500点以上の遺物が含まれていた。黄金の装飾品は120点以上におよび、ミシュテカがこのあたりでもっとも優れた金細工技術を持っていたことを示している。ろうで原型を作って鋳造する方法で、胸飾り(首にかけて胸を飾る装身具)やペンダント、ネックレスなどの装身具を作っていた。(参考記事:「写真で見る古代の文化と副葬品14選」

 カソの発見の中でも最大級と考えられているのが、黄金の胸飾りだ。カソはこれについて、「我々が知る中で、おそらくもっとも美しいメキシコの金細工」と記している。それだけではない。このまばゆい胸飾りは、ミシュテカ文明で用いられた複雑な象徴言語(絵文字)を知るうえで、貴重な情報源でもある。

次ページ 胸飾りは誰を表すのか