夜中に何かを食べたくなる人は多いが、早い時間に食べる方が体のリズムには合っている。(PHOTOGRAPH BY JAN NEVIDAL, GETTY IMAGES)
夜中に何かを食べたくなる人は多いが、早い時間に食べる方が体のリズムには合っている。(PHOTOGRAPH BY JAN NEVIDAL, GETTY IMAGES)
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 年末年始などは、ごちそうを食べる機会が増えるものだが、その体への影響は食べるタイミングによって異なる。なぜなら、私たちの体に備わっている体内時計にしたがって、食事に適した時間とそうでない時間があるからだ。そこで、体内時計の観点から、私たちはいつ食べると健康にいいかについて詳しく見てみよう。

 私たちが日々、夜眠って朝目覚める生活を送れるのは、24時間周期のタイマーとして働く体内時計のおかげだ。これはさらに空腹を知らせたり、消化のスケジュールを決めたり、日々のホルモンの量を管理したりするなど、多くの機能に関わっている。もちろん、健康にとっては体内時計が安定し、食事のタイミングがそれにマッチしている状態が望ましい。

食事の体への影響は食べるタイミングによって異なる。(PHOTOGRAPH BY GILAXIA, GETTY IMAGES)
食事の体への影響は食べるタイミングによって異なる。(PHOTOGRAPH BY GILAXIA, GETTY IMAGES)
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体内時計が乱れると

 だが、体内時計が安定しない人もいる。たとえば、日勤と夜勤が短期的に入れ替わったり、時々夜勤が入ったりするシフトワーク(交代勤務)で働く人々だ。

 米国では約1500万人がシフトワークに従事している。これらの人々の健康状態を調べた研究は、シフト制の労働者は睡眠障害と肥満の割合が高いことを示唆している。また、夜勤のある人は、午前9時〜午後5時という通常のスケジュールで働いている人より、太りやすい傾向にある。

 看護師を対象にしたある研究では、夜勤の場合、同じ活動をしていても日勤のときより消費カロリーが減っていることが判明した。別の研究では、シフト制の労働者は日中に働いている人に比べて、心臓発作、脳卒中、不整脈と心血管疾患のリスクが40%上昇することがわかっている。(参考記事:「夜勤の発がん性リスクは個人の問題? 危険な除草剤と同レベル」

 原因はまだ解明されていないが、シフト制の労働者の健康や代謝が乱れるのは、体内時計が乱れるうえ、食事のタイミングも不安定になるせいだと思われる。

シフト制で働く人の食生活は体内時計のリズムにマッチしないかもしれないが、昼食は早く食べた方が長期的に有益だ。(PHOTOGRAPH BY GETTY IMAGES)
シフト制で働く人の食生活は体内時計のリズムにマッチしないかもしれないが、昼食は早く食べた方が長期的に有益だ。(PHOTOGRAPH BY GETTY IMAGES)
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体内時計にそぐわないと

 実は、現代社会に生きる私たちの食事のタイミングは、体にとって食事に適した時間とそもそもズレていると言える。私たちは夜になると食べたくなるものだが、体の機能的には早い時間に食べたほうがいい。太陽の光や1日の予定など、外的な条件を一切排除した環境に置かれたとき、日中に普通に活動している人は午後8時ごろに最も空腹になり、午前8時ごろに最も空腹を感じないことが研究で明らかになっている。

 そうした食欲のリズムは、人類が誕生した当初は強みだった。だが、現代の生活では害をもたらしているのかもしれない。

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