日経トレンディ2021年6月号の記事を再構成

 2020年大みそかの「RIZIN.26」は平均視聴率を前年から大きく伸ばし、YouTubeで無料公開されたシバターvsHIROYAの動画再生数は600万回超。大晦日の試合で決め手として使われた蹴り技の名称である「カーフキック」がTwitterのトレンド入りするなど地上波、SNS問わず注目度が急上昇している。

 RIZIN FIGHTING FEDERATIONとは、打撃、投げ技、関節技などを組み合わせて戦う総合格闘技を主軸に、キックボクシングなどの試合を開催・運営する競技会。DEEPや修斗、PANCRASE、RISEといった既存の格闘技団体の垣根を越えた試合を組んでイベントを開催している。

2020年大みそかの視聴率が前年からV字回復
大みそかの「RIZIN.26」は平均世帯視聴率が前年比2.1ポイント上昇。テレビ局が重視する13~49歳層の視聴率が昨年のフジテレビの全スポーツ中継で1位にだったという。

 CEOの榊原信行氏は、「総合格闘技が世界的にヒットしている。理由は圧倒的な分かりやすさと、現代の視聴行動に適していることだ」と分析する。1対1の対戦で、試合開始から終了までが10~15分ほど。短時間で見終えることができスマホの小さい画面でも見やすく、移動しながら視聴もできる。

RIZIN FIGHTING FEDERATION CEO
榊原信行氏

1963年、愛知県生まれ。97年PRIDEを立ち上げた。07年UFCにPRIDEを売却し、サッカーチームFC琉球のオーナー兼球団代表として活動。15年RIZINを立ち上げ実行委員長に就任。現在はRIZIN FF CEO(6年目)

 ビジネスモデルにも特徴がある。格闘技の世界に取り入れたのが、団体の垣根を越えて世界一を決めるサッカーのチャンピオンズリーグの発想だ。RIZINは選手の所属団体から試合単位で契約を買い取り、団体の垣根を越えて選手が参戦できる仕組みを作った。「世界中に散らばる格闘技団体のチャンピオンを招請して競技会を行える点が強みだ」(榊原氏)。

 しかし、門出が順風満帆というわけではなかった。旗揚げした15年当初、RIZINは体重90kgを超える重量級を中心に、往年の人気選手たちをそろえた計27試合(2日間)もの初興行を行った。世界に通用する舞台にしようと、引退していたエメリヤーエンコ・ヒョードルを口説き落としてカムバックさせるなど、一般の人とは異次元の肉弾戦はわかりやすく届くはずだったが、ファンの反響は乏しかったという。

スタートは2015年
ヒョードルをはじめ、桜庭和志、青木真也、石井慧らヘビー級のそうそうたる選手のマッチアップで2015年年末にRIZINはスタート。この時点で実は女子の試合も組んでいた。
続きを読む 2/2 女子格闘技とバンタム級が鍵だった

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