※日経トレンディ2021年12月号の記事を再構成
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【9位】ピッコマ
コロナ禍に漫画アプリ全体が伸長する中、すさまじい躍進を見せたのがカカオジャパンの「ピッコマ」だ。サービス開始は2016年と後発の存在にもかかわらず、販売金額では競合から頭一つ抜け出す逆転劇を見せた。
アプリの累計ダウンロード数は、21年10月に3000万を突破。20年には前年比約2.8倍となる販売金額376億円を達成し、その成長は21年になってさらに加速している。1~7月だけで販売金額が315億円に到達した。
アプリの市場データと分析プラットフォームを提供するApp Annieによれば、21年第2四半期のゲームを除いたアプリの消費支出ランキングで、ピッコマは全世界で7位に入った。上位のYouTubeなどが世界中で利用されるのに対し、日本だけのサービスであるピッコマがここに名を連ねるのはまさに快挙だ。
■ピッコマ
■月間63億円を販売するまでに成長
なぜここまで利用者が増えたのか。それは、ピッコマでは「SMARTOON(スマトゥーン)」と呼ばれる「縦読みフルカラー漫画」に注力してきたからだ。縦にスクロールするだけで次のコマに進めるので、通常の縦横にコマ割りされる版面漫画を読みにくいと感じていた人も入っていきやすい。カカオジャパンの金在龍社長は「縦読みフルカラー漫画の魅力は、気軽に読めて分かりやすい点」と分析し、新規利用者獲得の呼び水にする戦略を取った。
具体的には、既存の漫画愛好家以外にターゲットを絞り、SMARTOONの広告宣伝を実施。「YouTubeやスマホゲームなど、他のスナックカルチャーコンテンツからの流入を狙い、新型コロナによる最初の緊急事態宣言が出たときにはYouTubeを中心にCMを積極的に展開した」(金氏)
「話売り」の場合、数十円で1話という料金設定が一般的。しかし、ピッコマでは24時間待つことで次の話が無料で読める「待てば無料」の機能を他の漫画アプリに先駆けて16年から導入していた。また、読んだ漫画の傾向から嗜好に合いそうな作品をレコメンドする機能もあり、「待ちさえすれば、無料で面白い作品をたくさん読める」という評価を獲得。コロナ禍で一気に利用者を増やした。
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