ヒットにつながった要因は何か?

 果物を加えるなど簡単にアレンジできる点もヒットにつながった要因だ。「高度な成形技術を必要としない点も含めて汎用性が高いスイーツといえる」(三菱食品)。この評価に代表されるように、マリトッツォは作り手が付加価値を生みやすいと指摘する業界関係者は多い。低コストで作れることもあって、冒頭で示した通り、多くの企業が短期間で商品化した。ホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の有木真理氏は、「新商品が次々と出てくるため、消費者には選ぶ楽しみや新鮮さがあった。これは19年頃にはやったタピオカと同じ」と指摘する。

 人気が一過性で終わらずに一大ブームへと膨らんだのは、消費者が驚きを込めて“魔改造”と評するほど、アレンジの程度が大きくなっていったから。パンをメロンパンなどに替えるのはまだ軽微な部類で、パンや生クリームとは全く違う食材で作るところも現れた。「次はどんな姿で出てくるのか」と、消費者の期待は高まった。魔改造の象徴的な例が寿司の持ち帰り販売店、古市庵の「すしトッツォ(まぐろ)」だ。シャリと海苔(のり)で漬けマグロなどを挟んでいて、マリトッツォとの共通点は中身の具がこんもりと挟まれている点にとどまる。それでも、「21年9月に期間限定で発売したところ、売り上げ全体に占める割合は金額ベースで従来比約30倍」(古市庵)と好調。当面は販売を続ける予定だ。「マリトッツォ」という言葉の響きの良さも手伝って、「店は自由にアレンジしたものに『○○トッツォ』と名付けて、消費者もその目新しさを喜んで受け入れた」(ぐるなび)といえる。

せっかくのブームなら食べなきゃ損損、作らにゃ損損――。「マリトッツォええじゃないか」とばかりに、消費者も食関連の業界もこぞってこのブームを楽しんだ。

魔改造版が人気を加速

■すしトッツォ(まぐろ)(古市庵)
変化形の寿司バージョンは、百貨店などで持ち帰り販売。こうした自由なアレンジでブームは過熱
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百貨店ではイベントも開催
横浜高島屋は21年7月に約50種類を集めたイベントを開催。1週間で8000個以上を販売する人気ぶりで、期間を延長
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[日経クロストレンド 2021年11月11日掲載]情報は掲載時点のものです。

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