シリーズ
上阪欣史のものづくりキングダム

26回
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水素も生み出す三菱重工の原子炉 新たな選択肢、経営資源どう配分
三菱重工業は「高温ガス炉」と呼ばれる次世代原子炉を使った水素の量産に乗り出すと発表した。原子炉で発電しながら、同時に原子炉から出る熱を活用して水蒸気などから水素を製造。将来は二酸化炭素(CO2)を排出しない「グリーン製鉄…
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12人抜きOKI新社長の突破力 傍流出身、保守的な企業風土にメス
取締役を経ず執行役員から12人抜きという異例の人事で4月1日にOKI社長に就いた森孝広氏(57)。傍流といえるプリンター事業を率い、市場シェア1ケタの弱小メーカーだったOKIに成長をもたらした。森氏は「弱者の戦略」にのっ…
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誰でも「デジタルものづくり」 始まった製造業のMaaS
製造業のMaaS(マニュファクチャリング・アズ・ア・サービス)に新星が現れた。HILLTOP(ヒルトップ、京都府宇治市)だ。かつてしがない自動車部品の下請け中小企業だったが、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)に事業…
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工場DX待ったなし 国産の通信ソフト「オライン」を眠らせるな
ロボットや検査機器など異なるメーカーの生産装置を1つのソフトで統合し、簡単に一体運用できないか? こんな工場の課題を解決するオープンなソフト「ORiN(オライン)」の普及活動が始まって22年で20年になる。世界にも類まれ…
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ファナックも仰天 グローリーが釣銭機工場で発掘したロボットの鉱脈
ロボットを用いた生産効率化や省人化が引きも切らないニッポンの製造業にあって、ロボットとは無縁のグローリーが次々と工場に進出している。請け負うのはロボットを使った生産システムの構築だ。グローリーといえば釣銭機など貨幣処理機…
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原発が水素も量産 10年ぶりに再稼働した実証炉が秘める力
日本の官民が原子力発電とグリーン水素の製造を同時にやってのけるハイブリッドプラントの開発に臨んでいる。原子炉から熱を取り出し、主原料の水を化学反応させて水素を生む。高温ガス炉(HTGR)と呼ばれる次世代炉の1つだ。一体ど…
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TOTOにはない節水トイレのサブスク、戦う土俵を変えた世田谷企業
公共・商業施設のトイレをサブスクリプション(定額課金)方式で提供する一風変わった中堅企業がある。木村技研(東京・世田谷)。かつては一介の水道工事会社にすぎなかったが、独自の節水技術で名を上げた。今や名だたる公共交通機関や…
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COP26でも再注目の次世代原発 三菱重工若手技術者の胸の内
英国で開催中の国連の第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)。各国が地球温暖化対策を打ち出す中、再生可能エネルギーの導入拡大が遅れる日本は目標達成に黄色信号がともる。そこで、議論が活発になっているのが原子力発電…
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その太陽光パネル、人権侵害の疑いあり SDGsの本末転倒
脱炭素の潮流を受けて需要が盛り上がる太陽光パネル。原料となる多結晶シリコンは中国が8割弱の世界シェアを占めるが、その生産現場で人権問題が暗い影を落としている。中国国内で半分を供給する新疆ウイグル自治区で強制労働の疑いが強…
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キャディ80億円調達、米大手も対抗 熱帯びるデジタルものづくり
3次元CADデータを送信すると自動で見積もりし、機械加工してくれるサービスの競争が激しくなっている。米大手は日本でパートナー企業の開拓に乗り出し、加工できる品種を2022年から一気に増やす方針を決めた。日本のスタートアッ…
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「調べたうちの3割が不正品」 ニセモノ半導体にご用心
半導体不足の影響を受けて正規ルートで買えなかった電子機器メーカーが非正規ルートで購入した結果、不正品をつかまされる被害が相次いでいる。真贋(しんがん)判定を手掛ける企業に持ち込まれた半導体のうち約3割が不正品だった。それ…
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押っ取り刀の次期戦闘機エンジン共同開発 IHIが抱く一抹の不安
防衛省は航空自衛隊の次期戦闘機「F3」について、エンジンを担当するIHIの共同開発相手に英ロールス・ロイスを選ぶ方針を決めた。機体や戦闘システムの開発では米ロッキード・マーチンから支援を受ける一方、エンジンは「脱米国」へ…
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離島防衛の切り札、川崎重工の新鋭ミサイル 不可解な研究開発中止
離島防衛の要の一つである長距離弾道ミサイルの研究開発を巡り異変が起きた。射程2000kmという自衛隊保有のミサイルでは最長距離となる対艦誘導弾を試作していた川崎重工業が突如、防衛装備庁から事業の打ち切りを通知された。今後…
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「二刀流」のグローリー、キャッシュレスでも現金精算機は好調のなぞ
個人消費に占めるキャッシュレス決済の割合が過去最高になった。現金がお役御免になるのかと思いきや、意外にも小売店に置かれるレジ向け釣り銭機の出荷台数は伸びている。現金処理機大手のグローリーはコロナ禍の2020年を除き、ここ…
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能登のものづくりをブランドに昇華、カジグループの信念
北陸の繊維産地でテキスタイル(布地織物)の受託製造に甘んじず、自社ブランドを打ち立てて勝負しようとするドン・キホーテがいる。カジナイロン(金沢市)、カジレーネ(石川県かほく市)を率いる梶政隆社長だ。糸やテキスタイルの加工…
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縦糸はM&A、横糸は若手への負託 丸井織物が紡ぐ経営革新
中国に席巻され低迷する日本の繊維産業にあって、盤石の強さを誇る丸井織物(石川県中能登町)。名うての大手SPA(製造小売り)やアパレルブランドを引き寄せる技術に、オンラインD2C(製造直販)にも進出する積極性。そんな丸井織…
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旭化成、イノベーション再興へ「レンタル移籍で他流試合」も
2022年に創業100周年を迎える旭化成が、イノベーションに磨きをかけるため人材育成をテコ入れに動いている。高い世界シェアを誇るリチウムイオン電池材料など「昨日まで世界になかったもの」を世に送り出してきた旭化成だが近年は…
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出資ラッシュの小型原子炉 日本の“お弁当箱”技術に頼る
IHIが小型モジュール原子炉(SMR)の開発を手掛ける米スタートアップ、ニュースケール・パワーに出資し、米国のプラント建設プロジェクトに参画すると発表した。ニュースケールには日揮も4月に出資を発表。米国が日本勢に秋波を送…
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ミスミ、調達DXで第2の創業 3.8億時間、2兆円のムダを一掃せよ
ミスミグループ本社がメーカーの調達現場に地殻変動を起こそうとしている。800垓(1兆の800億倍)にも及ぶ種類の機械部品を受注生産し、平均2日で供給する「カタログ販売」は押しも押されもせぬ同社の代名詞。だが、それに飽き足…
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温暖化の元凶を価値ある味方に CO2から再生エネや化学品生み出す
二酸化炭素(CO2)をエネルギーや化学品に転換して再利用する動きが広がっている。微生物の力でCO2を発酵させ、エタノールに変える技術を持つ米ランザテック(イリノイ州)は、製鉄所に続き合金鉄工場でもCO2のリサイクルを始め…
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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