日本製鉄がデジタルトランスフォーメーション(DX)の鉄人へ生まれ変わろうとしている。AI(人工知能)が自動ですべての製鉄所をまたぐ生産計画を作ったり、各製鉄所でバラバラに取得していたデータを統合管理して利益に還元したりと「考える製鉄所」に脱皮。これまでデータ活用は製鉄所ごと、機械ごとの部分最適に陥りがちだったが、本社が求心力を働かせ、全社的な生産改革や経営の意思決定でも活用する方向へ軸足を移している。

■連載予定 ※内容は変更する場合があります
(1)日本製鉄、V字回復を成し遂げた橋本改革の真相
(2)日本製鉄、負け犬体質を払しょく トヨタがのんだ大幅値上げ
(3)日本製鉄の橋本社長「危機の真因は10年前の経営統合にあった」
(4)日本製鉄の改革が教える 「利益なき顧客至上主義」への戒め
(5)道険し脱炭素 日本製鉄、“静脈”人材に託す
(6)日本製鉄のグローバルな適“鋼”適所 海外生産が日本を上回る日
(7)インドの「踊る製鉄所」見聞録 高炉新設に日本製鉄社員も感無量
(8)「考える製鉄所」へDX 日本製鉄、データ利用の部分最適排す(今回)

 東京・丸の内の日本製鉄本社。生産計画の担当者がまなざしを向けるパソコン画面には、格子状のチャートが映し出されている。横軸に東日本や九州など6製鉄所が並び、縦軸には上から下へ「製鋼」「熱延」「酸洗」など各工程が並ぶ。

 縦横の格子には受注した薄板の生産計画が時々刻々とグリーンやオレンジの線で表示されていく。グリーンは製鉄所に発注済みの鋼材、オレンジは製鉄所にはまだ未発注の鋼材、灰色は設備が工事中であることを意味する。

AIが生産計画を自動で作成

 これは受注品を各製鉄所に割り振り、全社的な生産計画をリアルタイムで一元管理するシステム。実は驚くべきことに、この計画はAIが自動で作成している。「コンテナ」と呼ばれるクラウドコンピューティング技術を使い、ビッグデータを並列処理しながら計画をシミュレーションしているという。2022年4月から薄板の生産で運用が始まった。

受注品を最適に組み合わせて各製鉄所に発注することがカギとなる
受注品を最適に組み合わせて各製鉄所に発注することがカギとなる

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