ミスミグループ本社がメーカーの調達現場に地殻変動を起こそうとしている。800垓(1兆の800億倍)にも及ぶ種類の機械部品を受注生産し、平均2日で供給する「カタログ販売」は押しも押されもせぬ同社の代名詞。だが、それに飽き足らずカタログ販売で培ったデータをもとに、ミスミならではの人工知能(AI)エンジンを開発。部品設計と見積もりという最も労働負荷が高い調達業務から顧客の製造業を解放し始めている。ミスミ第2の創業をなす新機軸は「生産性後進国」の日本を変えるか。

 「こんなのが出てきたら商売あがったりですよ」。都内のステンレス部品の加工メーカーの経営者と話をしていると、こんな嘆き節を耳にした。「こんなの」とはミスミが5年ほどかけて開発したソフトウエア「meviy(メヴィー)」だ。

日本の製造業は生産性の低さが課題(写真:PIXTA)

 メヴィーの何が破壊的なのかを説明するには、まず日本の製造業が置かれた現状を知る必要がある。

 とにかく日本の製造業の労働生産性は低い。2018年でみると経済協力開発機構(OECD)加盟国中16位。2000年は1位だったが転げ落ちるように下がっている。要因は多いが、生産性向上を最も阻んでいるのが、部品の設計・見積もりなどの調達現場といわれている。

 生産現場ではロボット化やIoT化が進み、販売でもオンラインでのやり取りが日常風景になっている。だが、デジタル化が進んでも部品の受発注は旧態依然としている。特に部品加工を手掛ける2次、3次下請けではそれが顕著だ。

 では、なぜ調達現場の生産性は低いのか。

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