取締役を経ず執行役員から12人抜きという異例の人事で4月1日にOKI社長に就いた森孝広氏(57)。傍流といえるプリンター事業を率い、市場シェア1ケタの弱小メーカーだったOKIに成長をもたらした。森氏は「弱者の戦略」にのっとってOKIの長所を引き出し、競合メーカーを出し抜いた。低収益にあえぐOKIグループ全体の未来を託された森氏とはどんな人物なのか。

 「斬新な発想で心の底からわくわくした。でも、ちょっと常識外れで本当にそんなことができるのかとも思った」。森氏がプリンター事業を手掛けていたOKIデータ(現OKI)の国内営業本部での部長時代、ある戦略を聞かされた当時の部下の打林明夫氏はこう振り返る。

 森氏は1988年のOKI入社以来、ほぼ一貫してプリンター畑を歩み、酸いも甘いも知り尽くしたエキスパート。そんな森氏が2006年ごろ、上層部に採用を働きかけていたのが、プリンター業界初の「5年間無償保証」だった。

 売った後の補修や保守管理で稼ぐのがプリンター業界の鉄則。その真逆を行く大胆不敵な秘策だったが、森氏には勝算があった。

森新社長は入社以来、一貫してプリンター畑を歩んだ(写真:的野弘路)
森新社長は入社以来、一貫してプリンター畑を歩んだ(写真:的野弘路)

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