ロボットを用いた生産効率化や省人化が引きも切らないニッポンの製造業にあって、ロボットとは無縁のグローリーが次々と他社の工場に進出している。請け負うのはロボットを使った生産システムの構築だ。グローリーといえば釣銭機など貨幣処理機の国内最大手だが、なぜロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイヤー)にも足を踏み入れたのか。その理由をたどっていくと自社工場での成功体験を宝の持ち腐れにしない貪欲さにあった。

 臨床検査受託大手のH.U.グループホールディングス傘下の富士レビオ・相模原工場(神奈川県相模原市)。2台の人型ロボットがベルトコンベアーに乗って次々と流れてくるウイルスの抗原検査キットを紙箱に詰め込んでいく。よくみると紙箱の3面の淵の折り面も素早く折り込み、キットを収納している。

 2台のロボットの前にはキットを送り込む作業者がいるが、ロボットはこの作業者の熟練度と連動して動作スピードを変えられる。いわゆる人と共働きする「協働ロボット」だ。

富士レビオでは作業を協働ロボットに切り替え、作業員を8人から1~2人に減らした
富士レビオでは作業を協働ロボットに切り替え、作業員を8人から1~2人に減らした

 箱を広げる、押さえる、蓋の面を閉じるといった作業をすべてロボット1台でこなす。箱のゆがみやずれなども最新のセンシングで対応し、キットを正確に入れていく。かつては8人の作業者がいたが、今は1~2人だ。

金銭機械大手がロボットのなぜ

 当時、この新ラインを導入した責任者の駒井孝哉・宇部工場長は、「人と協働するために(作業中のロボットを囲う)柵は不要で、最大の特長はとにもかくにもコンパクト。受注量に増減があったり、ほかの製品をパッケージングしたりするときでもフレキシブルに対応できる」と満足げだ。富士レビオは新型コロナウイルスの抗原検査キットでも指折りのメーカー。目下、増産中だがロボット効果で安定して受注をこなしている。

 実はこの全長15mに及ぶ自動化ラインを請け負ったはグローリーだ。読者はグローリーといえば金銭機械の国内最大手のはずと思うだろう。なぜ、ロボットの自動化ラインに名前が上がるのか。

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