郵便局のリアル拠点としての魅力を高めるため、日本郵政が新たな一手を繰り出した。10月29日にファミリーマートと連携した実験店を2カ所で開業。コンビニエンスストアの機能を取り込み周辺住民の買い物需要にも応えることで、存在意義を高める方向だ。

 実験店は2パターンある。1つは広さ14㎡ほどの小さな無人店舗で、品ぞろえは約350種類。入り口と出口にはゲートがある。利用者が商品を手に取ると、店内のカメラやセンサーが自動的に識別。出口手前のレジで利用者がセルフで決済する仕組みだ。第1号店舗は埼玉県川越市の川越西郵便局に設置した。

川越西郵便局に設置されたファミマ店舗(写真:共同通信)
川越西郵便局に設置されたファミマ店舗(写真:共同通信)

 もう1つが、郵便局にコンビニ商品の棚を置く方式。自動販売機2台分ほどの大きさで、支払いは郵便局の窓口で行う。こちらの1号店は茨城県稲敷市の柴崎郵便局で、郵便局の営業時間内で食品や飲料、日用品など約70種類を扱う。テクノロジーを駆使した「無人店舗」と比べると地味ではあるが、地方部でちょっとした買い物需要を満たす狙いがある。

茨城県稲敷市の郵便局内に設置された小型の棚。食品や飲料、日用品など約70種類を扱う
茨城県稲敷市の郵便局内に設置された小型の棚。食品や飲料、日用品など約70種類を扱う

 いずれも商品の補充などはファミリーマート側が手掛ける。無人店はファミリーマートが郵便局側に賃料を支払い、棚方式では売り上げに応じた手数料を郵便局側が受け取る仕組みだ。

 日本郵便の衣川和秀社長は「地域のお客さまの豊かな生活に貢献したい」と語り、郵便局の集客力アップに期待する。日本郵政グループでは郵便局を「共創プラットフォーム」と位置づけ、さまざまな企業や周辺住民の役に立つ基盤として活用してもらう青写真を描いている。コンビニで扱う食品や雑貨は、まさに周辺住民の日常生活のニーズに応えるものだ。

 日本郵政はこれまでもローソンの店舗を拠点内や周辺に誘致してきた。直近で110店舗あるが、最近では伸び悩んでいた。店員を配置する従来型の店舗では、採算の合う立地などが限られるためとみられる。

 ただ、常駐の店員が必要ない無人店舗や棚を置く「間借り」方式なら、採算の合う余地が出てくる。無人店舗の実用化というIT技術の進展が、日本郵政とファミリーマートの双方に選択の余地を与えたともいえる。

次ページ 持ちかけたのはファミマ側