政府は9月22日、24年ぶりの円買い介入に踏み切った。ただ、連休を挟んで翌週には再び円安が進み、26日には介入前の円安水準である1ドル=144円台に戻ってしまった。外国為替市場で何が起きているのか。

 22日夕方に実施された円買い介入は、145円台から一時は140円台まで円を上昇させた。財務省の神田真人財務官が同日昼過ぎに「スタンバイ状態」とある程度事前予告めいた表明をしていたものの、さらに同日日銀が金融政策決定会合で金融緩和の維持を決めて円安がじりじりと進む中での介入だっただけに、市場は虚を突かれた格好だった。

(写真=共同通信)
(写真=共同通信)

それでも144円台に戻っている1つの要因は、介入の規模が限定的だったことだ。市場では約3兆円との見方で一致する(財務省による正式発表は9月30日夜予定)。3兆円と聞くと一般には巨額に思えるが、実は外為市場からすればそれほど大きくない。日本の外為市場は1日あたり平均3755億ドルの取引高があり(2019年4月時点)、3兆円は10分の1以下に過ぎない。

 つまり、「政府による為替介入」というキーワードだけ聞くと大きなインパクトに思えるかもしれないが、金額の絶対水準から見れば影響力はもともと限定的というわけだ。むしろ、実際の市場での影響力は、時々の市場参加者のポジションや心理に左右される。ある日銀OBは「為替介入は心理戦」とも指摘する。

 では意味がなかったのか、と考えるのは早計だ。ここまでの円安の主因の1つは、米国によるインフレ抑制のための利上げで、世界の通貨に対してドルが上昇する「ドル高」だ。実際、自国でインフレ抑制のために利上げを実施してきた韓国ウォンや英国ポンドですら、対ドルで26日以降も下落が続いた。加えて28日には米長期金利が一時12年半ぶりの4%台に乗せた。円は144円台に「持ちこたえている」と見ることも可能だ。