外為市場に歴史的な円安局面が訪れている。9月7日には一時1ドル=144円という24年ぶりの水準をつけた。複数通貨との比較などで円の通貨としての総合的な実力を算出する「実質実効為替レート」に至っては、既に半世紀ぶりの低水準だ。

(写真=ロイター/アフロ)
(写真=ロイター/アフロ)

 海外と比べて低いインフレや円安の進行で、円の購買力は大きく下落している。投機筋の心理と実需の両面で根深い円売り材料があるなか、足元の水準が「新常態」になる可能性も出てきた。

 年初からの円安幅は30円を超え、「1989年を超えた」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)。実質実効為替レートは7月に58.7(2010年=100の指数)と、1971年以来の低水準だ。名目では147円台まで明確な節目がなく、それを超えると90年以来32年ぶりの円安水準が視野に入る。いわゆる「プラザ合意」以来の大きな相場変動が起きている。

 1つの象徴的な値動きがある。鈴木俊一財務相が9月7日、「最近の動きはやや急速で一方的だ」とけん制したが、発言後も円安は止まらない。8日午後に財務省・金融庁・日銀が3者会合を開くと伝わった後にやっと143円台まで戻った。一般的に政府高官による外為関連のコメントは為替介入を連想させるが、市場はもはや単発のコメントでは反応しなくなってきた。会合という現実の動きまで至ってようやく「値動きの方向性が(足元では円安から円高へ)変わるのでは」との警戒を呼んだといえる。市場参加者の間での円安ムードは強い。

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