ソフトバンクグループ(SBG)の株価が停滞している。3月の1万695円をピークに足元は7500円を下回る。年初来の上昇を帳消しにしてしまった。下落当初は大規模な自社株買いの終了など需給面が理由とされたが、目下の足かせとなっているのは投資先の中国企業への当局の規制だ。
膨大な個人情報を扱う巨大IT企業の経営の自由が中長期的に制限される可能性が浮上しており、IT企業への出資で「情報革命」を狙うSBGの戦略にも影を落としている。

発端は7月4日、中国のネット規制当局が中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)のアプリで個人情報の収集と利用に関する法律や規則に対する重大な違反を確認したと発表したことだ。同時にアプリのダウンロードの停止を命じた。当局は2日にも、国家の安全に関する取り締まり強化の包括的な方針を定めた「国家安全法」と、ネット空間の統制を強化する「インターネット安全法(サイバーセキュリティー法)」に基づいた審査を始めたとし、利用者の新規登録の停止を命じていた。
SBGは傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を通じて滴滴に資金を投じている。上場前に出資し、6月30日にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場したばかりだ。米証券取引委員会(SEC)に提出された資料によると、SBGの保有比率は2割強とみられる。上場初日の時価総額は約680億ドル(約7兆5000億円)にのぼったが、規制を受けて株価は下落。7月7日までに時価総額は1割以上目減りした。
ダウンロード済みのアプリは正常に使用できるといい、配車サービス自体は継続しているが、利用者の拡大にブレーキがかかったことで、今後の成長性に強い不透明感が生じている。
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