日本企業の業績に大きな影響を与える外為市場に異変が起きている。ドル円の取引が低調で、1~5月の取引量が過去最低に陥っているのだ。市場参加者は円について買いにも売りにも動けず、値幅が出にくくなっている。半面、輸出企業にとって「安定」した相場は好都合。当面は業績の追い風要素になりそうだ。

 日銀の集計によると、今年1~5月のドル円の取引高(スポット取引)は合計で827億ドル。過去10年の同期間の平均は1687億ドルで、足元はその半分にすぎない。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 原因の1つが、日本における新型コロナウイルスのワクチン接種の相対的な遅れだ。ワクチン接種の進行の度合いと経済成長は連動する。5月31日に経済協力開発機構(OECD)が発表した2021年の経済見通しでは、世界の実質経済成長率は5.8%で、前回(3月)予測から0.2ポイント上方修正した。米国が6.9%、中国が8.5%の成長率を見込む中、日本は2.6%で、前回予測から0.1ポイント下方修正した。

 グローバルな相対間で投資対象を決める外為市場の参加者にとって、「今後の経済格差の拡大が高い確率で見えている以上、わざわざ話題性に乏しい円を取引する理由はない」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)。

 では、逆に円が売り込まれるかというとそれも難しい。

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