ロシアの国債が事実上の「デフォルト(債務不履行)」に陥った。世界の主要金融機関で構成するクレジットデリバティブ決定委員会が6月1日、ロシアのドル建て国債の利払いに不履行が生じたとの判断を示したためだ。
これにより、ロシア政府はドル建て国債による新規の資金調達をすることが改めて困難になった。一方で、通貨ルーブルの対ドル相場は堅調だ。主要国による経済制裁と、ロシアによる対抗策がせめぎ合っている。
不履行が認定されたのは、4月4日が償還日だった国債。30日間の猶予期間中に元利金の支払いは完了していたものの、当初の期日から遅れた分の利息が上乗せされなかったのは不払いになるとの投資家の主張を認めた形だ。
国債発行時の取り決め通りに利払いなどが実行されないクレジットイベント(信用事由)となったことで、デフォルト時に損失相当額を受け取れる金融取引「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の売り手から買い手に補償が発生することになり、今後手続きが進むとみられる。補償が実際に発生することによりロシア国債に関するCDSの売り手が減ってしまえば、投資家がロシア国債を買う動機がますます失われる。ロシアが外貨建て国債を売るハードルが中長期的に上がることになる。

今回のデフォルトは一般的な「債務不履行」とは様相が異なる。
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