任天堂が2017年にコロプラを特許侵害として起こした訴訟について、改めてゲーム関係者の注目が集まっている。

対コロプラ訴訟で改めて注目を集める任天堂(写真:PIXTA)
対コロプラ訴訟で改めて注目を集める任天堂(写真:PIXTA)

 きっかけは任天堂が21年4月に、この訴訟での損害賠償の請求金額を49億5000万円から96億9900万円に倍増したことだ(任天堂自身は公表せず、コロプラ側が公表)。この訴訟で任天堂は昨年12月、それまで44億円だった請求金額を49億5000万円に引き上げたばかりだ。いったい何が起きているのか。

 コロプラが4月21日にホームページや東証の適時開示システムで発表した資料には増額の理由について「時間経過等によって請求金額を追加したというもの」と記されている。昨年12月の増額時のコロプラ資料(2月12日公表)は「時間経過によって請求金額を追加したというもの」だった。変化したのは「等」の1文字が加わったことだ。

算定し直して増額する戦略

 任天堂に問い合わせてみると、「損害額の審理に入るために金額を再計算したもの」との回答が得られた。これが「等」の意味するところというわけだ。

 どういうことか。実は損害賠償を求める争いでは、訴訟の段階が進むにつれて請求金額を引き上げていくのが定石なのだ。請求金額が増えれば増えるほど、裁判所に支払う必要のある手数料が膨らむ。つまり、余計な手数料を払わなくて済むよう「勝てる見込みが強まった段階で、請求額を改めて算定し直して増額する戦略をとることが多い」(企業法務を手掛ける弁護士)のだ。

 実際、記者が東京地方裁判所で裁判記録を閲覧したところ、今回の増額にあたって任天堂は数百万円を追加で裁判所に支払っていた。

 別のゲーム開発会社の法務担当者は「少なくとも裁判のプロセスのうち6~7割は進んだのでは」とみる。約3年半続く訴訟に、決着する兆しが見えてきたわけだ。

 仮に任天堂が勝てばどうなるのか。

 「特許侵害はないものと考えている」。コロプラは現時点で引き当ての計上をしていないため、最大で90億円超の損害賠償金がそのまま一時的な損失になる。ただ、コロプラの2021年3月末の現預金は600億円超と手元資金には余裕がある。4月21日の発表後、株価は2日で10%下げたが、下落は2日で止まった。

続きを読む 2/2 自由な開発環境を維持しているのでは

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