円の対ドル相場が約20年ぶりの安値圏にある。みずほ銀行でチーフマーケット・エコノミストを務める唐鎌大輔氏は、長期的な円高トレンドが、円安トレンドに転換した可能性があると分析。目先の為替変動への対応だけでなく、日本経済が構造改革を迫られていると指摘する。

(写真:共同通信)
(写真:共同通信)

約20年ぶりの円安水準が訪れています。直近ではロシアルーブルやトルコリラと比べても弱い。どうしてここまで売られているのでしょうか。

みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト(以下、唐鎌氏):足元で円安が進んだ理由は3つ。2つの国内要因と1つの海外要因です。

 国内要因の1つ目は巨額の貿易赤字という需給。資源価格が上昇するなかで貿易赤字が膨らむということは、外為市場では支払いのために円を売ってドルを中心とした外貨を買う取引が増えます。

 2つ目は日銀が大規模金融緩和を継続していることで、低金利通貨は売られやすい。3つ目の海外要因は、米国でFRB(連邦準備理事会)が利上げを進めていることで、円に比べ高金利通貨となるドルが買われやすいということです。

唐鎌大輔(からかま・だいすけ)氏
唐鎌大輔(からかま・だいすけ)氏
2004年慶応義塾大学卒。日本貿易振興機構(JETRO)入構。日本経済研究センターへの出向ののち欧州委員会経済金融総局(ベルギー)に出向し、「EU経済見通し」の作成などに携わった。2008年にみずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)に入行し、為替市場を中心とする経済・金融分析を手掛ける。

 より大きな要因が、マクロでみた日本経済の地盤沈下です。これまで円が「安全資産」と呼ばれ、円買いの一因とされてきたのは多額の経常黒字を稼ぎ、世界最大の対外純資産国という地位を保持していたからです。これが、所得収支で稼ぐ以上に(資源価格上昇で)貿易収支の赤字が拡大し、いわゆる「債権取り崩し国」になる可能性があります。

 例えば、企業活動のグローバル化が不可逆的に進むなか、海外工場建設など対外直接投資も拡大してきましたが、こうした投資は成果が上がっても海外で再投資に向かいやすいため、円売り一方通行になりがちです。国内環流に伴う円買いが細っているのです。

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