原材料など調達コストの増加が企業収益を圧迫する懸念が強まっている。企業間取引の価格動向を示す統計「企業物価指数」は約40年ぶりの高い伸び率が続いている半面、最終製品など川下への価格転嫁が進んでいないためだ。

 いずれ最終製品への価格転嫁が進んだとしても、今度は消費がしぼんで景気悪化と物価上昇が併存する「スタグフレーション」的状況に陥る懸念がある。

(写真:共同通信)
(写真:共同通信)

 4月12日に日銀が発表した「企業物価指数」(3月速報値)は前年同月比9.5%の上昇。2月確報値は9.7%と速報値から上方修正となり、オイルショックの影響が尾を引いていた1980年12月(10.4%)以来の高い伸びが続く。

 内訳を分析すると、「川上」の原材料に比べ「川下」の最終財の伸び率が小さい。さらに最終財(0.7%)のうち国内品は0.3%にとどまっており、「国内の価格転嫁が十分に進んでいるとは言い難い」(大和証券の末廣徹シニアエコノミスト)。企業がコストの上昇を十分価格転嫁できておらず、企業内で吸収しがちな様子がうかがえる。

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