
大規模な金融緩和を続けてきた日銀を巡る情勢に大きな変化が生じている。手掛かりは物価・外為・人事の3要素だ。足元では、にわかに進む円安の副作用を懸念し、円安につながりやすい金融緩和への批判も出始めた。いったい何が起きているのか。
3月28日午前10時10分、日銀は指定した値段で国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を通知した。その途端、外為市場ではドル円相場が1ドル=122円台前半から後半へと50銭ほど一気に円安に振れ、その後一時125円台まで下落が続いた。
日銀による国債買い入れは、国債価格の下支えを通じた金利抑制を意味する。一方で米国は利上げを進めている最中だ。外為市場の原則「日米金利差の拡大は円売り要因」の通りに円安が進んだわけだ。
日銀にとって指し値オペの発動は、これまで堅持してきた大規模緩和方針の姿勢を改めて示すという意味で、既定路線ではある。米国での金利上昇圧力が高まるなか、国内に波及するのを抑制する狙いだ。
ただし、金融市場の参加者や一部の日銀ウオッチャーたちはそう単純には見ていない。3月上旬まで115円前後で推移していたドル円はたった2週間で7円も円安が進行。新型コロナウイルス禍からの経済正常化やウクライナ紛争に伴う経済制裁を背景に資源や食料の国際価格が急騰する中、企業や個人の購買力が低下する「悪い円安」論が広がりつつあるためだ。実際、3月25日には国会で黒田東彦総裁が「悪い円安」について維新の会の議員から質問を受けた。
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