記者会見するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(写真=共同通信)
記者会見するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(写真=共同通信)

 「嵐はまだ終わっていない。むしろ強まっているかもしれない」――。2月8日の2021年4~12月期決算説明会に、黒のタートルネックシャツと黒いスーツを着て登場したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長。時折笑顔を見せたものの、全体としては厳しい表情を崩さなかった。

 直接の理由は保有資産の減少だ。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を擁する投資会社が主要事業であるソフトバンクGの会計上の損益は投資先企業の株価変動に左右されやすいため、孫氏ら経営陣は「NAV(ネット・アセット・バリュー、株式など保有資産から負債を除いた評価額)」を成績表と位置づける。

 このNAVが2021年12月末で19兆3000億円と、21年9月末から1兆6000億円減少。アリババ集団や滴滴出行(ディディ)といった中国企業の株価の下落が主因だ。

 当面の財務に大きな問題はない。NAVと並んで、ソフトバンクGが指標とする「LTV(ローン・トゥー・バリュー、保有資産の時価に対する純負債の比率)」は21年12月末時点で22%と、21年9月末の19%から上昇したが、目安とする25%未満に抑えている。「2年分の社債償還に充てる資金も確保している」(孫氏)と言い、債務の返済にもなお余裕がある。

 決算発表翌日のソフトバンクGの株価は約6%上昇。前日のニューヨーク市場での株高に連動した。悪い決算内容を受けたにもかかわらず、素直に連動したところに、ひとまず当面の悪材料が出尽くした、との市場の思惑が透ける。

 ただ、年明け以降の世界的な株安が気がかりである点には変わりはない。ディディや韓国ECのクーパンなど、12月末に比べ一段と株価が下落した銘柄が相次ぐ。米国でFRB(米連邦準備理事会)が利上げ姿勢を強めたことで、投資家のリスク選好姿勢が弱まり、過去数年大きく上昇してきた高成長株に利益確定の売りが先行しているのだ。

 ソフトバンクGに対しては、既に上場した保有株の評価が下落することに加え、これから上場するユニコーン企業の株価が伸び悩む懸念が強まっている。

 それでも孫氏は「財務規律を守れる範囲で着実に投資案件を増やす方針は変わらない」との姿勢を堅持する。既に投資家の間で案件の割高感を指摘する声が強まっており、出資の入り口で価格が以前より下がる傾向が出ているという。