国内の長期金利(10年物国債利回り)が低下してきた。1月23日には0.375%まで低下し、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策で容認している変動幅の上限0.5%を下回っている。1月18日の金融政策決定会合前まで約1カ月間に0.5%を超える場面も何度かあったことを考えれば、18日の決定会合で日銀が打ち出した「奇策」が効果を発揮していると言わざるを得ない。

 長期金利が決まる国内の債券市場では一体何が起きているのか。

 長期金利の低下を呼び込んだ「奇策」とは、18日に拡充を決めた資金供給策「共通担保資金供給オペレーション(共担オペ)」を拡充したことだ。共担オペは日銀が民間金融機関に対し、国債などを担保に長期の資金を低利で貸し出す仕組み。このほど貸出期間や利率の柔軟性を高めた。
(参考 前回記事「日銀が繰り出した『奇策』、銀行などに国債購入促す資金供給」)

(写真:毎日新聞社/アフロ)
(写真:毎日新聞社/アフロ)

 23日には拡充後初のオペが実施された。期間は5年で、貸出枠は1兆円。3兆1290億円の応札が集まり、1兆3億円を落札して資金供給(貸し付け)することが決まった。平均落札金利は0.145%で、最低は0.110%だ。理屈上は、この資金を使って落札金利よりも高い利回りの残存期間5年の国債を買えば確実にさやが抜ける。

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