日銀の挙動が金融市場を動かす材料として改めて浮上している。象徴的だったのが、1月の金融政策決定会合(通称「MPM」)が開かれた18日の外為市場の値動きだ。MPMの結果が公表されると、1ドル=114円台半ばだった円相場は1時間ほどでスルスルと115円台まで下落。その後、黒田東彦総裁の記者会見を経て午後6時頃には、再び朝方の水準まで戻してしまった。1日の円相場の値動きとしてはそれなりに大きい。

いったい何が起きたのか。発端は前週14日に海外で「日銀が内部で利上げについての議論の検討を始めている」との観測報道が出たことだ。利上げは金融緩和の縮小を意味し、外為市場では「円買い」材料になる。この報道の直後、円相場は一時113円台まで上昇していた。この経緯が下敷きとなっていたため、18日の外為市場は、日銀の金融緩和へのスタンスに変化があるかどうかを改めて確認する場になっていたわけだ。
結果は「完全否定」。18日の決定会合の結果は「現状維持」で、黒田総裁は午後3時半からの記者会見で「利上げを議論していることは全くない。現在の緩和的な金融政策を変更するとは全く考えていないし、議論もしていない。出口について議論するのは時期尚早だ」と述べた。緩和縮小という円買い材料は空振りに終わり円安が進んだわけだ。
それでも、総裁の記者会見後には朝方の水準まで再び上昇した。外為市場の値動きだけをみれば、日銀のスタンスについて、緩和縮小に動くのではとの思惑がくすぶっているようにもみえる。
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