さらに、「保全性」の高い人は、「周囲の評価が気になる」ことも失敗を恐れる要因になっています。その対策としては、挑戦し続けることが「評価される基準」と捉え直してみてはどうでしょうか。
また、この場合は、「失敗しても安全を感じられる環境」を親や上司が整えてあげることも大事なポイントです。
若い世代の好奇心を育むのが、親や上司の務め
最後に、若い世代が限界への挑戦を厭わないように、親や上司、経営者が子どもや若手社員にどう接するとよいかをまとめます。
- ・好奇心を育むように導く
- ・心配だからと言って口を出さない。「過保護」にならない
※過保護の度合いを超えると、「モンスターペアレント」になりかねない - ・挑戦し続けることを評価する
- ・失敗しても安心できる環境を整える
人の成長には、「面白そう」と感じることが、一番の動機づけになります。
これをFFS理論で解説すると、人が先天的に持つ「拡散性」と「保全性」の因子は、どちらも「好き/嫌い」「興味ある/興味なし」の情動に影響される因子です。人は誰でも、「拡散性」か「保全性」、もしくはその両方の影響を受けています。つまり、情動が成長の原動力になるのは誰にとっても同じです。
そして、拙著『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』でも解説したように、「拡散性」と「保全性」では、それぞれに合う学び方が異なります。
ただし、両方に共通することもあります。その一つが、今回強調してきた「自分の限界を知る」ことの重要性です。
私は、この限界を「高質な原体験」と呼んでいます。「拡散性」の高い人も、「保全性」の高い人も、この「体験」を経た人たちは、自らによりどころを持ち、自信に満ち溢れ、他者を受け入れることができるのです。
組織で継承されている「理不尽さ」には、もちろんどう考えても不合理なもの、時代遅れになってしまったことも多いでしょう。でもその中に、不合理な方法でないと身につけることができないから残っている場合も、あるのではないでしょうか。
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