ですから、若い世代に伝えたいのは、「理不尽と思えるものにも、それなりの理由がある」ことを前提に、一度飲み込んでみることです。

 そして、現時点のベストな方法を実践した後で、より良くしようとして「変える」ことが本意です。それを担うのが「20代」なのです。

 これからの時代を担う20代には、伝統や既成概念にとらわれず、自ら変えていくことが期待されています。ただ、そうする前に一度、永く伝えられてきたものの理不尽さを飲み込み、実際にやってみて、「理不尽として対応する」ことの合理性を得ていただきたいのです。

 一つ補足しておくと、FFS理論における5つの因子の一つ、「弁別性」は合理性を好む因子であり、「理不尽さ」がストレスを与える要因となります。ここで説明してきた理不尽さを体感する意義は、「弁別性」の高い人だけに必要なことではなく、若手社員全般に関連する話として理解していただけたらと思います。

過保護過ぎる親にも、一言!

 イマドキの若者が我武者羅(あえて死語を使います)を嫌うのは、親の関わり方も影響しているのではないでしょうか。子どもを心配し過ぎる親の接し方が、無理せずほどほどに生きようとする若者を生み出しているように私には思えます。

 親は、子どもの無事を常に考えています。だから、何事も「無難に、無難に」と望みます。
 以前、私が新人研修合宿で講師をしていると、新入社員の親御さんが見に来られたことがありました。その後、その親御さんは配属先まで出向いたと聞きます。そして、「こんな危ない仕事をさせられるなら、辞めなさい」と言ったそうです。

 最近は、親が子どもを砂場で遊ばせないそうですね。ばい菌がいるから、だそうです。あるいは、無菌の砂場が用意されていたりします。

 昔は砂場で遊ぶのが普通でしたし、ばい菌で亡くなった話もあまり聞きませんでした。
 ところが、最近は様々な情報に過剰に反応して、親は子どもに砂場へ行かせません。結果的に免疫ができずに、子どものアレルギーを引き起こしてしまうことがあります。  菌の中には、もちろん危ない菌もあるようですが、砂場で遊ぶことで結果的に免疫をつけてアレルギーに強くなった、という研究もあります。

 また、切り傷や擦り傷をしている子どもも、最近は見かけなくなりました。私が子どもの頃は、切り傷や擦り傷は、元気な子どもの勲章でした。骨折もそうです。「骨折した骨は周辺が強くなる」といわれています。

 しかも、けがや骨折をすることで、「危険なこと」を体験的に学んでいました。「これ以上やると大けがになる」とか、経験を通して学んでいきます。そのおかげで、“死なない程度の無茶をする”こともできるようになり、結果的には危険察知能力が鍛えられるのです。危険に直面したときに回避する能力が高まるのです。

 親はもちろん、「よかれ」と思ってやっています。ただし、そのすべてがよい方向に作用しているわけではなく、「ある面で弱い子どもにしている」可能性があることは、認識すべきではないでしょうか。

 子どもの危険を容認するなど時代錯誤と思われるかもしれませんが、それ以上に「過保護過ぎる現状」に危機感を感じていますので、あえて警鐘を鳴らしたいと思います。

挑戦をためらう「保全性」へのアドバイス

 今回は、「20代の意味」について若い世代の人たちにもう一度考えてほしくて、オヤジ世代を代表して、あえて“煙たいこと”を書いてみました。

 「失敗しても再戦できる」=「若さは武器である」ということを理解し、徹底的に「量」と「質」に取り組んでいただきたいと思います。

 連載の前回(ドラマ「ドラゴン桜」、見事に積み上げた天野に学ぶ成功法)で紹介した、「Y字路の例え」を思い出してください。挑戦を躊躇する天野に、桜木はこんなアドバイスをしていましたね。

 「やる」「やらない」のY字路で、「やらない」を選べば、成功する確率はゼロ。しかし、失敗しても繰り返し「やる」を選択すれば、最後は成功する。つまり、成功確率は100%になる。

 これは、若いからこそ、できる挑戦なのです。

 とはいえ、「保全性」の高い人は、そう言われて頭で理解はできても、気持ちがなかなかついていかないでしょう。「保全性」の高い人は、未知のことには不安を感じるので、新たな挑戦には気後れする傾向があります。

 そんな「保全性」の高い人へのアドバイスとしては、未知を既知に変えてしまうことです。つまり、失敗も“想定内”にしてしまえば、一歩踏み出す不安は減っていくでしょう。
(「ドラゴン桜で『東大を受ける』と子どもが言い出したら?」を参照)

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