イマドキの若者の傾向を、FFS理論で説明すると

  • ・体力がある
  • ・脳が活性化していて、知識を獲得しやすい
  • ・大学や大学院への進学、就職など幅広い選択肢がある
  • ・独身者が多く、守るべき家庭もないため、時間をつくろうと思えばつくれる
  • ・会社の同期など、ある程度近しい環境において、切磋琢磨する相手がいる
  • ・失敗しても、やり直せる

 これらのことから何が言えるでしょうか。
 それは、「20代は一番伸びしろがある世代」ということです。

 一番伸びしろがある20代だからこそ、「限界に挑戦する」という経験が、成長のためにはとても重要です。
 極端に言えば、体力があるからこそ、自分の限界に挑戦して、どこまでやれるのかを知ってほしい。知識欲にまみれてほしいし、様々な経験もしてほしい。  限界に挑戦すれば失敗もしますが、失敗しても構いません。なぜなら、若いときの失敗は「取り返しがつく」からです。

 にもかかわらず、最近の若い人たちは、どちらかと言えば、安全な道を選択したがるし、邪魔くさいことを避けたがる傾向にあります。

 この現象をFFS理論で考えると、次のように説明できます。

 「邪魔くさいことはしたくない」というのは、前々回の記事(「ワクワクできない」あなたは「学べない拡散性」になるかも)でも書いたように、「拡散性」の高い人が目的を見いだせない場合に陥りがちな状態です。やりたいことがないから、積極的に動きたくないし、毎日がつまらなく感じる。ダメな拡散性のパターンです。

 一方、「安全な道を選択したがる」のは、「保全性」の高い人の特徴です。「保全性」の高い人は、本来、物事を確実に成し遂げたい安全志向の傾向がありますが、失敗したくない気持ちが強くなり過ぎると、自分の限界を試すどころか、できることしかやらなくなるので、成長が見込めなくなってしまいます。

限界まで追い込まなければ、筋肉は鍛えられない

 このように、個性によって“そこそこ”に甘んじる理由は異なりますが、どちらのタイプにとっても、自身の成長のためには、20代という早い段階で「限界まで鍛えること」が必要です。

 それはなぜか。

 運動で例えると分かりやすいかもしれません。
 筋肉は、限界まで追い込まれないと鍛えられません。こう書くと、学生時代、真夏の暑い最中に、水も飲まずにグラウンドを走らされた苦い記憶がよみがえる方もいるかもしれませんが、今は昔のように非科学的な精神論ではなく、科学的知見を加えて「限界に追い込む」ことは可能です。

 私自身、今もトライアスロンのレースに出場する現役選手です(ただし、タイムを競うレベルではなく、完走が目的です)。20数年前は、本気でハワイの世界大会を目指した時期もあり、追い込みの練習をしていました。

 例えばスイムでは、100メートルを10本繰り返すインターバル練習があります。1本ごとにベストを尽くします。少しの休憩を取って、2本目、3本目と続けます。本数を重ねるごとに、タイムは徐々に落ちていきますが、毎回ベストを目指すので一切手を抜きません。10本目は、溺れそうになりながらも、100メートルを泳ぎ切るのです。

 そうすると、プールサイドに上がれないほど筋肉が疲れ果てます。何とかよじ登ったとしても、そのまま動けない日が何度とありました。
 ただ、その練習を繰り返すことで、タイムは確実に伸びていきました。

 限界まで追い込む練習を、某体育会では「根性練」と言うそうです。が、禁止された部活もあるそうです。「根性」という言葉が嫌われるだけで、ネーミングさえ変えれば、今でも続けられていたような気もしますが……。

『ドラゴン桜2』8巻61限目 ©Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜2』8巻61限目 ©Norifusa Mita/Cork
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新人はまず、「量と質」を追求すべし

 仕事においても、「限界まで鍛えること」の重要性は運動と同じです。
 この場合、量と質の追求がモノを言います。

 まず、「量をこなす」こと。
 どんな仕事も最初は当然要領が悪いはずです。要領よくできるようになるには、「量をこなす」しかありません。回数を重ねるうちに、要領が分かり、徐々に少ない時間でできるようになっていきます。そのためにも、一度は「量をこなす」ことが大事です。

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