最初に言っておきますが、運とは、主観です。
 周りがどれほど「あんな幸運な人はいない」と思っていても、本人が「俺は不運だ」と考えていたら、その人にとっては不運なのですから。

 という前提を置くと、そもそも、「運がいい」「運が悪い」と感じる心理メカニズムは、どうなっているのか、が気になります。

 先ほどの模試の判定結果で話を進めると、E判定という結果に対して、「悲観的」になりやすいのは「保全性」の高い人です。「保全性」の高い人は、周りと自分を比較する傾向があるため、他人と比べて「自分はダメだ」と思いやすいのです。
 そして、その「ダメだったこと」をいつまでも覚えています。「記憶力がいい」とも言えます。

 加えて、「保全性」の高い人は、前回も説明したように、「不確定要素」を極力避けたがります。したがって、一度失敗すると、それをいつまでも覚えていて、「二度と失敗したくない」という気持ちが勝ってしまい、それとよく似た経験を避けようとします。

 そして、苦手意識だけが醸成されて、さらに避けることになります。そのため、失敗した過去は永久保存されたまま、「成功」という新たな経験に上書きされる機会を失います。
 その結果、「自分は運がなかった」という記憶が、脳に定着されていくのです。

 「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」という諺(ことわざ)がありますが、まさにその状態です。過去の失敗を引きずり、苦手意識から体が萎縮してしまうことを、「悪魔のサイクル」と私は呼んでいます。

 余談ですが、「イワシとカマスの実験」をご存じでしょうか。
 水槽に透明の仕切りを置き、一方にカマスを、もう一方にエサとなるイワシを放ちます。するとカマスがイワシを襲おうとするたびに、仕切りにぶつかります。それが何度も繰り返されると、カマスはイワシを襲うことをやめてしまいます。
 その後、仕切りを外しても、カマスは二度とイワシを襲いません。

 カマスはどう猛な印象ですが、意外と「保全的」なんですね。

懲りない人ほど、強運の持ち主!?

 一方、「拡散性」の高い人は、失敗しても気にしません。物事を「楽観的」に捉える傾向があります。

 拙著『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』でも書きましたが、「拡散性」の高い人は、成功か失敗かを問わず、「様々な体験を通して一つの概念に昇華させていく」という学び方をします。体験の数は多いほうがよく、幾多の失敗も「成功のためのプロセス」とポジティブに捉えているのです。

 そのうえ、「拡散性」の高い人は、何事もすぐに忘れます。良く言えば、「忘却力」がある。

 そのため、失敗しても「まあ、いいか」とチャラにして、すぐにまた動きます。そうやって繰り返し動いているうちに、いつか成功する、というわけです。

 そこで、「拡散性」の高い人はこんなふうに思うのです。

次ページ 「保全性」と「拡散性」、「運」をつかむそれぞれの方法