ドラマの「東大専科」は理想のチーム!?

 ドラマに話を戻すと、東大専科は、学習効果につながりやすい「異質補完」のチームではないかと私は見ています。

 健太が加わる前の東大専科の4人のメンバーの個性を、FFS理論で分析すると、次のようになります(公式設定ではありません。あくまで私が、登場人物を観察して分析した結果です)。

 早瀬菜緒(南沙良)と岩崎楓(平手友梨奈)は「拡散性」の高いタイプ、天野晃一郎(加藤清史郎)と瀬戸輝(髙橋海人)は「保全性」の高いタイプでしょう。ドラマが進むにつれ、それぞれが直面する問題や葛藤を乗り越えて、お互いに助け合うチームとなってきました。

 そこに健太が加わると、東大専科の面々は、聴覚記憶に難のある健太を自主的にサポートし始めます。チームに生まれたこのシナジーこそ、健太を東大専科に招き入れた桜木の狙いだったのではないでしょうか。

 つまり、個性や学力の異なるメンバーが一緒に学ぶことで、相互に教え合うメカニズムが働き、個々の視野も広がっていく。これこそが「東大が求めている思考の幅の広さ」に通じるということです。

 まとめると、多様な人材が集まることで、自分と違う視点を持つ人を理解することができます。また、それぞれに「学び型」の違いも明らかになります。「そんな角度から見るのか」「そんな学び型があるのか」と気づくことで、思考の幅は広がります。

 だからといって、本人がすぐにできるようになったり、成績が上がったりするわけではないでしょう。そして、すぐには成果が出なくてもいいのです。

 異質補完がもたらすものは「仲間と一緒に学び、教え合いを通して、新たな視点、新たな思考回路が生まれる」こと、と理解してください。「違う方法やアプローチがある」と気づくだけで、その後の学びや成長が違ってきます。

 つまり、自分の発想や視点だけでは問題を解けないとき、「無理だ」とあきらめるのではなく、「別の角度から見ればできるかも」と発想を転換してみるのです。難問に出合ったときに、「確か、彼はこうしていたな」「彼女はああしていたな」と発想すれば、思考にヒントが生まれ、解決できる可能性が広がるのです。

 この連載の第3回でも指摘したように、「視野が狭い」ことは、東大受験には壁なのですから。

誰一人として、いらない人はいない

 最後に付け加えると、ドラマの中の健太が教えてくれたのは、「世の中には、誰一人として、いらない人材はいない」ということです。これは、個性を活かして適材適所を目指す、FFS理論の哲学でもあります。

 勉強のできない子がいるから、勉強のできる子が教える側に回れるし、教えることで新たな気づきを得ることができる。一人ひとり違うからこそ、それぞれの個性を発揮しながら助け合うことができる。

 私もこれまで、FFS理論の普及を通して8万人以上の人たちと出会ってきて、「いらない人など一人もいない」と強く感じています。

 「多様性」とは、皆が相手を認め合うことから始まるのです。

© Norifusa Mita / Cork
(構成:前田 はるみ

『ドラゴン桜2』3巻19限目 ©Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜2』3巻19限目 ©Norifusa Mita/Cork
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