学習効果の高いチームの作り方

 ここからは実例でお話ししましょう。

 以前、大阪にある予備校から「成績が良くなるチーム編成」を依頼されたことがありました。それまで、その予備校では自習時間を同レベルの生徒同士で教え合えるように、「習熟度別チーム」を作っていましたが、効果が出ていませんでした。そこで、FFS理論によるチーム編成の話を聞きつけた予備校から、私に前述のような相談があったのです。

 いろいろ考えて、習熟度を「同程度」と「差あり」の2パターンに分け、さらに個性に関しても、同じタイプを組み合わせた「同質」と、互いに補完し合う異なるタイプを組み合わせた「異質補完」の2つのパターンに分け、仮説検証を行いました。

1:習熟度は同程度×同質
2:習熟度は同程度×異質補完
3:習熟度に差あり×同質
4:習熟度に差あり×異質補完

 この中で一番効果が出たのは、どれだと思いますか?

 答えは、4の組み合わせでした。

 まず、習熟度に差があるチームのほうが、先生役と生徒役に分かれて教え合いやすかった、ということがあります。

 しかも、教える側は、誰かに教える経験を通して、自らも気づきを得て成長することができます。また、教えられる側も、先生役が同じ生徒であることから、つまずくポイントや勉強の悩みを自分と同じ視点からフォローしてもらえるので、的を射ており、理解しやすいというメリットがあったのです。

 「習熟度に差あり」でも、3の「同質」より4の「異質補完」に軍配が上がったのは、異なる個性を組み合わせることで、発想に多様性が生まれ、新しい思考のバイパスができ、理解が促進されたのでしょう。その中でも、「拡散性」の高い生徒が議論をかき混ぜることで、より効果を生んだと考えられます。

 さらに、3の「同質」のうち、「保全性」の同質チームにはあまり効果は見られませんでしたが、「拡散性」の同質チームにはある程度の効果が出ました。これは、「保全性」同士が一緒になると競争意識が高まって、それがネガティブな方向に出ると足の引っ張り合いに発展することもあるのに対し、「拡散性」の同質にはそれがないのも一因でしょう。「拡散性」の同質チームは、やたらと盛り上がりを見せるチームでもありました。

 この分析結果から、習熟度や個性の異なる組み合わせにより、思考の幅が広がり、学習効果につながることが分かります。また、思考の幅が狭くなりがちな「保全性」の高い人も、正反対の性質を持つ「拡散性」の高い人と一緒に勉強することで、彼らから刺激を受けて、思考の幅を広げることができるのです。

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『ドラゴン桜2』3巻19限目 ©Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜2』3巻19限目 ©Norifusa Mita/Cork
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