枠組みを守る「保全性」、それを壊す「拡散性」

 さて、「学び」に話を戻しましょう。

 書籍『ドラゴン桜とFFS理論が教えてくれる あなたが伸びる学び型』でも詳しく書きましたが、「保全性」の高い人と、「拡散性」の高い人とでは、学びのスタイルである「学び型」がまったく違います。それぞれを一言で説明すると、「保全性」の高い人は「体系化による学び」、「拡散性」の高い人は「概念化による学び」、ということになります。

 そこで、学びにおける多様性を担保するために、「保全性」の高い生徒と、「拡散性」の高い生徒を同じチームに入れることを考えてみましょう。本当にそれぞれの勉強に役立つのでしょうか。

 「保全性」の学び型は、前述のとおり(第2回: 『ドラゴン桜』で考える。「勉強ができないのは自己責任?」)、「情報や知識を積み上げながら体系化していくこと」です。

 そのプロセスの中で、不安要素がないよう抜け漏れをなくしてから、次のステップに進んでいきます。そうやって少しずつできることを増やし、「枠組み」を広げていきます。そのため、学びにはある程度の時間がかかります。

 一方、「拡散性」の学び型は、「様々な体験の中で、1つの共有する概念を見いだすこと」です。そのためには、体験の数と質が重要です。自由な動きを好む彼らは、それこそ脈絡なく動き回りますから、それなりに無駄打ちも多いのです。

 このようにまったく異なる学び型を持つ生徒が一緒に学ぶと、どのようなことが起きるのでしょうか。

 よくあるのは、枠組みを守ろうとする「保全性」の高い人に対して、「拡散性」の高い人は枠を無頓着に乗り越えて、“勝手にかき回し”ます。わざとやっているわけではなくて、実はそこに枠があったことすら、認識していません。

 「保全性」の高い人にすれば、自分が安心していられる枠組みを壊されて、不安マックスな状態に追い込まれます。そんなむちゃをやる人とは一緒にいたくない……、そう思って排除しようとしますが、「拡散性」の高い人は気にせずに寄ってくるので排除することもできません。

『ドラゴン桜2』8巻56限目 ©Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜2』8巻56限目 ©Norifusa Mita/Cork
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互いに補完し合えば、学びは広がる

 そこでどうするかというと、「保全性」の高い人は、とりあえず現状を「整理してみよう」「マニュアル化してみよう」と、少しずつ体系化していきます。やってみると、「枠の外に出るのは怖かったけれど、案外できるな」ということが見えてきて、少し安心します。

 「保全性」の高い人は、自ら率先して枠を広げるのは苦手ですが、誰かが広げてくれるなら、そこを「精緻化するのは得意」です。結果的に、自分の得意な分野で能力を発揮することができ、自己肯定感が広がります。

 一方の「拡散性」の高い人はどうでしょうか。自分だけでは無駄打ちが多く、効率も悪くなりがちですが、「保全性」の高い人が情報をまとめて「整理整頓」をしてくれるので、効率が上がります。本人にとっては、「これは楽。ラッキー」となります。

 「拡散性」が高い人は、相手が仲間や同僚など対等の立場であれば、自分の自由を束縛されるなどの「制約条件」とは感じません。この場合なら、どちらかと言えば、「いろいろと苦手なことを任せられる、ありがたい存在」です。そのため、素直に「保全性」の高い人との関係を築こうとします。

 こうして、「拡散性」と「保全性」の2つのタイプの学び型が組み合わさることによって、お互いの強みと弱みを補完しながら、成果を出すことができます。個性の多様性によって、学びがより深みと広がりを持つことがお分かりいただけたかと思います。

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