優等生の藤井(写真中央)が、なぜ他人を過剰にライバル視するのか ©TBS

 テレビドラマ、日曜劇場「ドラゴン桜」は、原作にはないオリジナルキャラクターも多く登場し、高校生たちの青春群像劇として楽しめるのも魅力の一つでしょう。

 そんなオリジナルキャラクターの一人、原健太(細田佳央太・以下、健太と表記)は、昆虫が大好き。いつも虫を追いかけているちょっと変わった生徒です。目で見たものはすべて覚えているほど“視覚センス”は高いのですが、耳からの“聴覚センス”は一般よりもかなり見劣りするため、聞いたことはすぐに忘れてしまいます。他の生徒からは「変わっている」と、軽く扱われかねない存在です。

 ところが、桜木建二(阿部寛)は、アリの行動観察から天気の急変を予測した健太の才能を見抜き、「東大専科に必要な逸材」と言って、クラスに誘うのです。

バカにしていた相手を、ライバルとは認められない

 それが気に食わないのが、学年トップの優等生、藤井遼(鈴鹿央士・以下、藤井と表記)です。健太が東大を目指すことを知り、すかさず健太のやる気をくじくようなことを言って、邪魔しようとしました。

 藤井のような優等生が、健太をそこまで意識することもないように思えるかもしれません。その理由をFFS理論(開発者:小林惠智博士、詳しくはこちら)で考察してみると、連載の第3回でも述べたとおり、藤井は「保全性」の高いタイプと考えられます。「保全性」の高い人は、相手に勝ちたい、相手より少しでも優位に立ちたい、という気持ちが強い傾向があります。

 藤井にとって健太は、見下してきた相手です。「バカにしていた相手が競争相手になるという想定外の居心地の悪さ」と、「敵は1人でも少ないほうが良い」という狭い思考から、健太をライバルとはどうしても認めたくなかったのでしょう。

 「東大に入れば、研究で大切にしている虫を殺すことになるぞ」と言って、健太をけん制する藤井。正論を装っていますが、詭弁(きべん)に聞こえます。

 それでも人のいい健太は藤井の言葉に動揺し、東大受験をあきらめかけます。そこで桜木は、「だったら、虫と共生する未来をお前が作ればいい」と、広い視点からアドバイスして、彼の気持ちを再び前向きに立て直しました。

 子どもの夢を大人としてどうやって応援するのか。桜木の言葉がけの仕方は、とても参考になりますね。

 「ダイバーシティー」が叫ばれている昨今ですが、個性的なキャラの健太がクローズアップされた第5話(5月23日放送)は、「なぜ多様性が大事なのか」を改めて考えるきっかけを与えてくれました。

 桜木はなぜ、健太を東大専科に誘ったのでしょうか。多様性が学びや仕事にもたらす意味を、FFS理論で語ってみたいと思います。

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