自分の“成功体験”を再現したいだけでは?

 さらに、親が理解できない「世代間のギャップ」もあります。
 ある大学の就職課の課長が、こんな話をしてくれました。

 「今の母親はバブル期に学生だった世代なので、『世間に知られている企業に入ってほしい』と子どもにアドバイスするんですよね。理系ならメーカー、文系は銀行や証券、商社。さらに『お父さんを見てごらんなさい』と言い、『あなたには幸せになってほしいから』と。お父さんの仕事ぶりをやや否定的に捉えている感じなんです。母親の気持ちは分からないでもないですが、今はメーカーや銀行、商社に入れば安泰という時代ではまったくありません。時代とのギャップを感じますよね」

 今、若手ビジネスマンが普通に将来性のある企業を考えるなら、理系ならAI系のユニコーン企業でしょうし、文系ならIT系メガベンチャーでしょう。「GAFA」なんて、親の時代には、就職したい企業の候補にすら入らなかったはずです。

 あらゆる業界でIT化が進み、もはや従来のカテゴリーで「何々業界」と線引きする意味すらなくなる時代を迎えています。だからこそ、業界で選ぶのではなく、将来性のある「企業」を目指すべきなのですが……。

 「保全性」の高い親は、従来の延長では予測できない先のことを見通すことが苦手です。従って、未来のことは「よく分からない」と思考停止に陥ると、余計に「過去に安定していた企業」にしがみつく傾向があるのです。

 親世代に見られる、有名私学への執着も、それと同じ理屈です。

 東大もすごいけど、就職に有利な有名私学の方がまだ合格ができそう。しかも、「滑り止めができる」ので、親としては「不安が少ない」。そういう理由で、子どもの気持ちなどお構いなしに、「有名私学にしたら?」と勧めしてしまうのです。

「保全性」の親は、情報収集で自分の不安を払拭すべし

 では、「保全性」の高い親は、どのように子どもに接すればいいのでしょうか?

 受験のための勉強法やテクニックは、桜木のような指導者たちが専門的に取り組んでくれることを信じて、親は子どもを「見守ってあげる」ことしかありません。子ども自身が不安にならないような環境作りを心がけましょう。生活習慣や食事など、親が関与できることは、様々あるのです。

 また、つい「こうしなさい」「あれはダメ」と口を挟んでしまいそうになるなら、それは、子どもが目指そうとしている未来が、「自分の枠組みから外れて」いて、「自分がその状況を不安に感じているからだ」と気づくためのサインです。

次ページ 「拡散性」の親は、子どもの“安定志向”に不満!?