
5月16日に放送されたテレビドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」第4話では、いよいよ東大専科での勉強が本格化し始めました。そして、原作のマンガで私もファンだった、名物数学講師の柳鉄之介がついに登場(写真上)。この柳先生を誰が演じるのか楽しみにしていましたが、2005年のドラマと同じ品川徹さんでしたね。マンガの柳先生が「動」なら、ドラマの柳先生は「静」という印象を受けました。
そんな中で私が注目したのは、自分の子どもが東大を目指していると知り、東大専科に抗議しにやってきた早瀬奈緒(南沙良)、天野晃一郎(加藤清史郎)のそれぞれの母親と、桜木建二(阿部寛)のやり取りです。「東大受験なんて無謀」と反対する母親たちに対し、子どもを信じて見守るよう、桜木が説得します。その上で、「親として取り組むべき10カ条」を披露する、という内容でした。
マンガ『ドラゴン桜』でも、矢島勇介の両親に対して、「親の過剰な期待が子どものプレッシャーになる」と諭す場面が描かれていましたが、受験は子ども本人の実力はもとより、「親の関わり」が大きく影響します。
子どもを思う親心としては、当然「良かれ」と思ってしたことでも、子どもとの個性の違いや世代の違いから、誤った接し方をしてしまうことも多々あるのです。
この連載の読者は親世代でしょうから、劇中の親たちに共感したり、身につまされたりしながら、ドラマから目が離せない人も多いことでしょう。
あなたの子どもが、ある日突然、「東大を目指す」と言い出したら、どう対応しますか?
今回は、親としての“あるある”と、どのように子どもと関わるとよいのかのヒントを、FFS理論(開発者:小林 惠智博士、詳しくはこちら)の視点から、提供してみたいと思います。
子育てには親の個性が反映される
子どものために「良かれ」と思って取った態度が、思わぬ問題につながるのはなぜでしょうか。
それは、「子どものため」と言いながら、実のところは、親自身が心地よく感じられる(もしくは親にとって都合のよい)方向に状況をコントロールしようとしているケースが多いからです。
もちろん、子どもを思う気持ちは本物だと思います。
しかし、子どもへの接し方には、親自身の個性が多分に反映されます。やや厳しい言い方になってしまいますが、自分の個性や、個性からくる「思考のクセ」を把握していないと、無自覚のうちに、「自分にとっての“良かれ”」を子どもに押し付けてしまう、ということにもなりかねません。
そうならないために、自分が「どのような状況でどのような言動をしがちなのか」について、親自身も自己理解を深めていく必要があります。
FFS理論では、5つの因子(凝縮性、受容性、弁別性、拡散性、保全性)の組み合わせでその人の個性を分析しますが、ここでは、気質に由来する因子である「拡散性」と「保全性」に着目して、解説していきます。ちなみに、この2因子で比較すると、日本人の65%は「保全性」が高く、35%は「拡散性」が高いタイプに分けられます。つまり、日本人の多数派は「保全性」の高いタイプ、と言えます。
それぞれの因子についての強み、弱みはこちらの『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』に詳しく書きました。また、以下の連載で、概要は把握していただけると思いますので、ご興味のある方は併読をお願いします。
「凝縮性」の高い人(参考:「『お前、もういいよ』と部下に言う上司の心中は?」)
「受容性」の高い人(参考:「『いい人と思われたい上司』が殺すもの」)
「弁別性」の高い人(参考:「褒めてくれない“冷たい上司”とストレスなく付き合うには」)
「拡散性」の高い人(参考:「『興味ないんで』と言い放つ部下をどうしよう」)
「保全性」の高い人(参考:「『果敢に飛び込んでいく人』を羨む必要はない」)
まずは、日本人に多い「保全性」の高い親御さんに向けたアドバイスです。
「保全性」の高い人の特徴を簡単に説明すると、「失敗したくない」「確実に実現させたい」という気持ちが強いため、じっくりと準備して、計画を立ててから実行に移します。とにかく慎重で、丁寧に進めていくのがこのタイプの特徴です。思い当たる節がある、という人は、私がこれから述べる言葉にぜひ耳を傾けていただければと思います。
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