保全性は一つひとつ階段を上っていくように学んでいくことを好みますので、「まだ理解しきれていないのに、さっさと進む先生」に不安を感じます。目立つことを嫌うので、「待ってほしい」ともなかなか言い出せません。全体の足を引っ張る子と思われたくない心理が働くのかもしれません。「分からないこと」を隠してしまいます。そのことで、苦手克服の機会を放棄してしまうのです。そうなると、授業を進めていく上で知らず知らずに“放置される”ようになってしまう。

 誰でもそうですが、「保全性」の高い人にとって、周囲から孤立したように感じられるのは最も辛いこと。勉強嫌いになる大きな要因でしょう。

 次にありそうなのが、「成績を比較される」こと。比べられて「こんな順位なのか」と言われて、自信をなくしてしまうのです。先生や親からすれば、何気ない一言かもしれませんが、「負けたくない」「勉強ができないと思われたくない」と思っている子どもにすれば、キツイ一言なのです。こうしたことが重なってテストの結果を隠したりするうちに、次第に勉強を遠ざけることになります。

『ドラゴン桜2』14限目より © Norifusa Mita / Cork
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 「なるほどね。しかし、よくある話じゃないの」と感じられたと思いますが、これを「拡散性」の高い人と比べると、特徴がくっきり見えてきます(日本人の65%は、5つの因子の中で「保全性」のほうが「拡散性」より高いので、保全性の傾向が強い社会になっています。なので「よくある話」なのも確かです)。

「いつか」を待っている拡散性

 拡散性の子は、「勉強をしなくても、どこまで通用するか」を試すようなところがあり、やや自己過信な状態になっていることが多いようです。そして成績が悪くても「勉強していないにしては、まあ上出来」とうそぶきます。言いわけのように「俺はやればできる」と言い続けることも。もちろん、よっぽどのことがない限りはやりませんので、「やればできる」時が来ないのです。ただ、できなくても、自分のことを“落ちこぼれ”とは思っていません。「いつか」を待っているのですから……。

 大人になって、大きな壁にぶち当たって初めて、真剣に「もっと本気で勉強していれば良かった」と思うのです。後悔ではなく。

 逆に、学びのの体験をうまく方法論として身につけていった拡散性は、親の期待や周囲の目は気にしません。本当に「好きか嫌いか」に終始します。嫌いと思えば、見向きもしません。好きであれば、興味の赴くままのめり込む感じです。

 原作『ドラゴン桜』ですと、母親に買ってもらったウルトラマンの図鑑から一気に昆虫、自動車、宇宙、地理と世界を広げた大沢賢治くんが、それに当たります。こちらは単行本で詳しくご説明しています。

 さて、ドラマの中での天野くんは、原作同様に「勉強好き」でもない様子です。「本気で勉強に取り組んだ」ことは、おそらく、なかったのでしょう。   これまで親の言うことを聞き、それなりに勉強してきたというのが関の山だと思います。

 しかも、やりとりの様子から推して将来の目標を明確に持っているわけではなさそうですので、自分に「自信が持てない」状態で、平々凡々と高校生活を過ごしていたのでしょう。しかし、「これでいい」と思っていたわけでなく、何かあればと思いつつも、「自ら変える」ほど勇気があるわけでもなかった、ということだと思います。

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