2021年4月にスシローグローバルホールディングスから社名を変更したFOOD & LIFE COMPANIES。20年10月~21年3月期の連結売上収益は1190億円(前年同期比10.1%増)、営業利益は131億円(前年同期比59.2%増)と、コロナ禍の中で上半期として過去最高の業績を記録した。テークアウト専門店や都心店の拡充に加え、吉野家ホールディングスからは海鮮三崎港などを展開する京樽を買収した。好調の回転ずし最大手はコロナ後を見据え、どう動くのか。水留浩一社長に聞いた。

水留浩一(みずとめ・こういち)氏
FOOD & LIFE COMPANIES代表取締役社長CEO(最高経営責任者)。1968年神奈川県出身、 53歳。91年東京大学理学部卒業後、電通に入社。アンダーセンコンサルティング(現・アクセンチュア)を経て、 2005年ローランド・ベルガー日本法人代表取締役に就任。09年企業再生支援機構(現・地域経済活性化支援機構)常務取締役、日本航空の再建に携わる。大手アパレル、ワールドの役員も経験。15年1月、あきんどスシロー顧問を経て、同年3月よりスシローグローバルホールディングス(現・FOOD&LIFE COMPANIES)代表取締役社長CEO。(写真:山本 尚侍)

4月25日から東京都など4都府県に緊急事態宣言が適用されるなど、飲食店が通常営業できない期間が長引いています。

水留浩一氏(以下、水留氏):さすがに営業時間が午後8時までに制限されると、お客さんの入りは一回転分だって取り切れない。平日は会社帰りのサラリーマンがお客さんの過半を占めていますし、厳しいです。

コロナ禍が始まってから1年余り。いまだに出口の見えない状態が続いていますが、現在進めている都心店の展開戦略などに影響はないのでしょうか 。

水留氏:出店戦略は変わりません。コロナ禍がどれくらい続くのかはさまざまな見方があるでしょうが、いずれにしても一定期間で解決される問題のはず。都心への進出は数年単位の話ではなく、10年、20年スパンの話なので、方向性は変えません。強化している都心進出についても、駅前店舗であれば乗降客数が10万人いる地域であれば、スシローを出店する余地はあると考えています。そうした商圏は今後も積極的に攻めていきたいですね。

店内飲食の客数減をカバーしようと外食業界では各社がこぞってテークアウト強化を進めました。FOOD & LIFE COMPANIESも持ち帰りすし専門業態のスシローTo Goを6店舗展開するなど、テークアウトを強化していますが、持ち帰り対応に店内飲食客の減少をカバーできるほどの力はあるのでしょうか。

水留氏:持ち帰り販売がイートイン客の減少による損失を、すべてカバーすることはあり得ません。とはいえ、コロナ前から「すしを持ち帰る」という習慣自体は存在していた。だから「テークアウトする料理を何にしよう」とお客さんが考えた時に、すしは選ばれやすい存在だったのでしょうね。それは幸運なことでした。コロナ前に10%程度だったテークアウト比率は20年4月以降は15%以上で推移しています。

京樽買収は「時間を買った」

4月に都心を中心に持ち帰りすし店や回転ずしを展開している京樽を吉野家ホールディングスから買収しました。そもそも京樽はコロナ前から業績が芳しくなかったようですが、それでも買収に踏み切られた理由は何でしょうか。

水留氏:京樽が財務面で非常に厳しかったことは事実です。ただ、当社もスシロー、すし居酒屋の杉玉、テークアウトのスシローTo Goなど、あらゆるシーンですしを買ってもらう業態をつくってきましたが、店舗拡大を進めるといっても自社だけではスピードに限界があった。その点、京樽は持ち帰り店舗や回転ずしの「海鮮三崎港」などでいい立地に店を持っていました。「時間を買う」という意味の価値はあったと思いますよ。また、海鮮三崎港はスシローでは手を出しづらい40~50坪前後の店舗面積でもビジネスを成立させられる業態です。これを磨き上げれば、大型店の多いスシローとの補完関係が成り立つと見ています。

今後もM&A(合併・買収)は進めていくつもりなのでしょうか

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