昨年4月の緊急事態発言の発令から1年、「来年の今ごろは収まっているだろう」との楽観はもろくも崩れ去った。コロナ禍は今も日本を翻弄し、特に年明け以降に「元凶」と名指しされた外食産業への風当たりは厳しい。2度目の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で、短くなった営業時間は外食産業を苦しめている。
かつてない逆境が続く中で、ただ外食業は手をこまぬいているわけではない。徹底した業務効率化に、客単価の引き上げ、安価になった家賃を背景にした大規模出店──。駅前の好立地の店舗に目立つ看板を掲げて関心を引く「なんとなく来店」は雲散霧消したが、コロナ禍でかえって高まった「外食を楽しみたい」というニーズの受け皿となれれば、顧客とのつながりはコロナ前より強くなるはずだ。
「おいしい」だけでなく「楽しみたい」という需要を取り込んできた外食産業。コロナ禍で各店の強みと弱みがはっきりした。それをふまえた「あえて行きたい店」とは、どんな店なのか。外食業の「新時代」を追う。(写真:AFP/アフロ)