ガソリン需要、そしてガソリンスタンドの減少が続くなか、石油元売りはどのようにビジネスモデルの転換を進めるのか。石油販売業の業界団体トップに聞いた前回に続き、出光興産とコスモエネルギーホールディングスの2社に再生可能エネルギーやデジタルを使った新たなサービス開発について聞いた。

出光興産 森下健一上席執行役員
出光興産の森下健一上席執行役員

出光興産と昭和シェル石油の新しい給油所(サービスステーション=SS)のブランド「アポロステーション」が4月1日からスタートしました。

森下健一上席執行役員(以下、森下氏):2年間の統合作業を経て、4月1日に東京都国分寺市に1号店ができました。3年かけて全国6400店をアポロステーションに切り替えていきます。アポロステーションは新しい世代に向け未来型でありながら地域創生にしっかりと貢献できるようにしたい。

 SSはロードサイドでも立地の一番良いところにあります。出光興産はカード会員が300万人、顧客数が3000万人以上、3兆円の決済基盤を持っています。これらをうまく生かして、人々の生活に必要な新しい時代の拠点を作る「スマートエコシステム構想」を掲げています。地域にあるスタートアップと組むなど、地域のニーズを拾い上げていきたいですね。

出光興産は4月1日から新しいサービスステーションのブランド「アポロステーション」をスタートした

森下さんは昭和シェル出身ですが、統合作業は大変ではありませんでしたか。

森下氏:出光と昭和シェルが一緒になった際、ブランドの統合に向けて店や現場で働くスタッフ、社内の経営陣と一緒に議論しました。過去にこだわらずに全部変えながらも、日本で100年以上かけ築いてきたブランド力など変える必要はない部分はしっかりと残す。統合は確かに大変ではありましたが、未来をイメージできるステーションになったと考えています。

地域の暮らしにとってガソリンスタンドは欠かせないものの、後継者不足やもうからないなどで廃業を考えるところもあります。

森下氏:環境変化のなかで多少の減少はあるかもしれませんが、今あるSSネットワークは絶対減らさない。10年前に統合や再編は一段落しているので、今あるSSは残っていける実力のあるところ、そう思っています。ただ、拠点として、燃料を入れるだけではなく新しい付加価値を持つことが欠かせません。

 一番は安定供給をしっかりやっていくこと。ガソリンだけではなく、これからは水素やアンモニアから出てきた燃料かもしれない。また、地域が求めている生活のサービスだったり、あるいは生活物資だったりを地域に届け、サービスを提供していくことも求められるでしょう。例えばタジマモーターコーポレーションさんと共同開発する超小型電気自動車(EV)をSSに置き、高齢者を病院まで連れていくといった際に利用してもらうこともその1つです。

 そうやって生活を手助けできるようにしながら、燃料もしっかりと供給していく。こうしたニーズが世の中には100個も200個も転がっているのではないでしょうか。地域にあったものを拾い上げて展開していけば、存在意義がしっかりと定義され商売を続けていくことができます。

 外食ビジネスを始めたくてもなかなかできないと悩む店には、人材と資金を組み合わせてサポートするサービスも提供していきたいと考えています。SSの皆さんが言われるのは「根本的な労働力が足りない」ということ。打ち手はなかなか見いだせませんが、スマートフォンのアプリなどを使って顧客のニーズを把握できれば、少ない人数でも効率よくスタッフのシフトが組める。そんなことも考えています。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2776文字 / 全文4228文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ガソリンスタンドサバイバル」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。