2021年4月、出光興産は新しいガソリンスタンド(サービスステーション=SS)のブランド「アポロステーション」を開始した。出光興産は昭和シェル石油と19年に経営統合し、事業・社員の承継に加え、ガソリンスタンドのブランド統合も目指してきた。統合から2年を経て、出光興産が店舗や看板に用いていた赤、昭和シェルの貝のマークから刷新し、黄色と赤色のグラデーションを使った新しい看板へと23年末をめどに順次切り替わる。

出光興産はで全国に6400カ所持つガソリンスタンドの看板を2023年までにアポロステーションへと切り替える
出光興産はで全国に6400カ所持つガソリンスタンドの看板を2023年までにアポロステーションへと切り替える

 出光興産をはじめ、最大手のENEOSホールディングス、コスモエネルギーホールディングスは石油精製から販売までを展開する「石油元売り」とも呼ばれる。ほぼ三極体制に再編・統合が進んだが、かつては20社ほど存在した。

 第2次世界大戦後、石油を安定して供給することを目的とした「石油業法」をはじめ、規制によって守られ、石油業界は発展してきた。だが1980年代から石油の精製や流通などの各分野で徐々に規制が緩和されていった。ガソリンスタンドは石油の元売りから燃料を仕入れ消費者に販売することで利益を得る仕組みだが、新規参入やセルフ式のガソリンスタンドも増加。価格競争に巻き込まれ、営業利益率は1%前後と低迷している。

 2011年には消防法の改正により地下にあるタンクの改修を求められ、費用負担が難しい中小零細のガソリンスタンドが廃業。ピーク時には6万店もあったガソリンスタンドは3万店以下となった。人口減少や車の保有台数に大きな成長の見込めない日本市場の魅力は薄く、海外メジャーの縮小・撤退も相次いだ。米エクソンモービルが12年に日本事業の縮小を決め、保有していた東燃ゼネラル石油の株式を同社に売却。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが16年に昭和シェルの株式売却を表明し、出光興産と昭和シェルの統合の引き金となった。

 この統合・再編の果てに、石油元売りが目指すのは電源構成の変化を踏まえた新しいサービスの提供だ。カギとなるのは、いかに地域の生活基盤を支える中小のガソリンスタンドの廃業を防ぐか、だ。

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