1日おきに断食(ファスティング)を行うダイエット法を3週間実践すると、体重は減るものの、通常のカロリー(エネルギー)制限によるダイエットと比べて減量幅に差はなく、総エネルギー摂取量が減らない場合は体重減少効果も得られないことが、英国で行われた無作為化比較試験で明らかになりました。

1日おきに断食をするダイエットは、通常のダイエットよりも減量効果や健康面での利益が大きいのでしょうか?(写真=123RF)
1日おきに断食をするダイエットは、通常のダイエットよりも減量効果や健康面での利益が大きいのでしょうか?(写真=123RF)

断食をする日としない日を組み合わせる「間欠的断食」の効果は?

 減量や検査値の改善を目指して、断食を取り入れたダイエットを試す人が増えているようです。断食をする日(時間帯)としない日(時間帯)を組み合わせる「間欠的断食」としては、週に何日か断食する方法、1日おきに断食する方法、1日の一定の時間は断食する方法、といったさまざまな方法が提案されており、広く行われています。

 これらの間欠的な断食は、均等に毎日の摂取エネルギーを制限するダイエットと比べ、効率の良い減量法なのでしょうか。また、体重の減少とは無関係に健康に良い影響を及ぼすことがあるのでしょうか。

 マウスを使った実験では、食事を与えない時間を設けると、エネルギー摂取を減らしたかどうかや、体重が減少したかどうかにかかわらず、代謝面での健康状態(コレステロールや血糖値などの状態)が改善することが明確に示されています。しかしマウスは、ヒトのように1日に数回に分けて食べるという習慣を持っていないため、この知見がそのままヒトに当てはまるとは考えられません。

 ヒトを対象とするいくつかの臨床試験の結果をまとめた研究では、間欠的断食は体重減少と健康への利益をもたらすことが示されています。しかし、断食をした場合と同レベルまでエネルギー摂取量を減らせば、断食をしなくても同様の効果が得られることも明らかになっています。

 そこで英国の研究者たちは、間欠的断食でしか得られない利益があるのかどうかを検討するために、健康で肥満ではない人たちを登録して、無作為化比較試験を行いました。

肥満のない男女を3つのダイエット法に割り付けて比較

 対象は、英国南西部に住む、肥満のない18~65歳の健康な男女です。BMI(*1)は20.5~24.9で、DXA(二重エネルギーX線吸収法)スキャンにより測定された脂肪量指数(*2)が、男性は7.5以下、女性は11.0以下、過去6カ月間体重の増減が3kg以内で安定していた36人を登録しました。

 これらの人たちを、以下の3つのダイエット法に無作為に割り付けて、効果を比較しました。

(1)

1日おきに断食を行い、断食の翌日は普通の1日の摂取エネルギーの2倍(200%)を摂取する、つまり平均すると摂取エネルギーに変化が生じない食生活を繰り返す間欠的断食法(1日目の摂取エネルギーは0、2日目は通常の200%なので、0:200法と名付けた)

(2)

1日おきに断食を行い、断食の翌日はそれまでの1日の摂取エネルギーの1.5倍(150%)に抑えて、平均すると75%に減らす間欠的断食法(0:150法

(3)

毎日の摂取エネルギーをそれまでの0.75倍(75%)に抑える生活を続ける方法(どの日もそれまでの75%、75:75法

*1 BMI(体格指数)=体重〔kg〕÷ 身長〔m〕² ※世界保健機関(WHO)の基準では30以上が肥満
*2 脂肪量指数:FMI(Fat Mass Index)=体脂肪量〔kg〕÷ 身長〔m〕²

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