体重は約3kg減少し、睡眠の質も向上、元の異常値は軒並み改善

 3カ月のプログラムを終了した、計101人を分析対象にしました。参加者からの有害事象の報告はありませんでした。

 全体の分析では、HbA1cやコレステロール値は、統計学的に有意な変化は示していませんでした。しかし、体重は82.5kgから79.7kgに減少し、BMI(体格指数;25以上が肥満)も27.3から26.9に減少しており、睡眠時無呼吸症候群の診断や重症度判定の指標である「無呼吸低呼吸指数」(AHI;1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数)も、24.1から17.1に改善していました。

 次に、それぞれの項目について、プログラム開始時点で異常値が認められた参加者だけに絞って分析したところ、低糖質食の利益は明確になりました(表1)。HbA1cがもともと高値だったグループでは、プログラム参加前の6.7%から5.8%に低下し、総コレステロールが高値だったグループでは220mg/dLから209mg/dLに低下、LDLコレステロールが高値だったグループでは133mg/dLから120mg/dLに低下、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低値だったグループでは35mg/dLから40mg/dLに上昇、中性脂肪が高値だったグループでは242mg/dLから190mg/dLに低下していました。

 睡眠の質については、AHIが高値だったグループに改善が見られた上に、深い睡眠の割合が低かった人たちにおいて、深い睡眠が10.4%から18.2%に上昇していました。

表1 低糖質食による異常値の改善
表1 低糖質食による異常値の改善
(データ出典:Diabetes Metab Syndr Obes. 2021; 14: 2863–2870.)
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 この研究により、ゆるやかな低糖質食は、メタボ、肥満、糖尿病の状態を示す測定値を改善させる有効な介入法であることが示唆されました。今回は、参加を希望した人全員に低糖質食に関する指導を行いましたが、「今後は、よりバイアスの少ない設計の無作為化比較試験を行って、低糖質食の利益を示す必要がある」と著者らは述べています。

 論文は、2021年6月23日付のDiabetes, Metabolic Syndrome and Obesity : Targets and Therapy誌電子版に掲載されています(*1)。

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday(グッデイ)2021年12月7日掲載]情報は掲載時点のものです。

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