肝臓の線維化を「健康診断の数値」から計算
恐ろしい肝硬変に至らぬよう、その前の段階からケアすることが重要だ。多くの酒好きは、脂肪肝を抱えている。脂肪肝を放っておくと肝硬変に進んでしまうことがあるため、要注意だ。
しかし、脂肪肝があったり、慢性的に肝臓に炎症がある人が、自分の肝臓が肝硬変へと進行してしまうリスクに、どうやって気づけばいいのだろうか。昔から「沈黙の臓器」と呼ばれるように、肝臓は少々その機能が低下しても、自覚症状はない。
「FIB-4 index(フィブフォー・インデックス)という数値によって、肝臓の線維化の程度を予測することができます。このFIB-4 indexとは、健康診断や人間ドックの血液検査で測定する、AST、ALT、血小板数と、年齢を使って計算します」(泉氏)

日本肝臓学会のホームページなどでは、AST、ALT、血小板数と年齢を入力すると、FIB-4 indexを計算してくれる。一度やってみよう。
FIB-4 indexの基準値は、1.3以下が「線維化のリスクは低い」、1.3より大きく2.67未満が「線維化が進んでいる可能性あり」、2.67以上が「4~8割が肝硬変。また線維化が進んでいる可能性あり」となっている。基準値としては、1.3より大きい場合は病院を受診したほうがいいとあるが、泉氏は「FIB-4 indexが1を超えていれば、肝臓専門医を一度受診することをお勧めします」と話す。
ちなみに筆者の場合は、「0.12」という結果だった。基準値よりも低い数値だが、これに安心することなく、引き続きケアに留意したい。
「FIB-4 indexはあまり知られていない数値ですが、現実を直視するためにもぜひ一度計算してみていただきたいですね。数値が悪い場合は放置せず、病院でMRIなどで肝臓の硬さを調べてもらうことが大切です。肝臓の数値が悪いのに、病院に行きたがらない方が多くいらっしゃいますが、肝障害を甘く見てはいけません。完治が難しくなる肝硬変に至る前の段階で、ケアしておきましょう」(泉氏)
酒との縁を切らないためにも、肝臓の数値が悪い人はそれを放置せず、専門家に相談しよう。
次回は、肝硬変へと進行してしまう可能性のある「脂肪肝」について、引き続き泉氏にお話を伺っていく。
(イラスト:堀江篤史)

昔から「酒は百薬の長」といわれ、適量の酒を飲んでいる人は長生きと考えられていた。だが、多くの人は、年齢を重ねるにつれ、γ-GTPをはじめ、中性脂肪や尿酸値など、あらゆる数値が気になりだす。
飲みすぎれば、がんを始め、死に至る病気のリスクが上がることはよく知られている。できれば、健康なまま、おいしく、楽しく、いつまでも飲み続けたい。
お酒が好きという医師が自ら実践している、太らない、翌日に残らない、病気にならないための「最高の飲み方」を解説。付き合いで飲まなきゃいけない人も必読!
葉石かおり著 肝臓専門医・浅部伸一監修
武蔵野赤十字病院 院長

[日経Gooday(グッデイ)2022年12月7日掲載]情報は掲載時点のものです。
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