倦怠感、腹水、黄疸……全身に及ぶ肝硬変の症状

 肝硬変の主な原因は、アルコールの多飲のほか、肥満とも関連する脂肪肝、C型肝炎やB型肝炎などのウイルス感染、自己免疫により起こる炎症などがある。それでは、肝硬変になるとどのような症状が起きるのだろうか。

 「初期の肝硬変は症状がほとんどありません。この時期の肝硬変を『代償性肝硬変』と呼びます。まだ肝臓の機能がある程度保たれていますが、肝臓が無理をして働いているために、機能の低下が起こりやすい状態です。症状がほとんどないとは言うものの、むくみが出やすくなったり、首や胸などに赤い斑点が出たり(クモ状血管拡張)、男性の乳房が大きくなったり(女性化乳房)する場合があります」(泉氏)

 代償性肝硬変の段階で気づき、治療を行えば、より重篤な症状を伴う「非代償性肝硬変」へと進行するのを防げるという。それでは、非代償性肝硬変ではどのような症状が起きるのだろうか。

 「非代償性肝硬変の段階では、全身の倦怠感や、腹水が溜まって下腹が出たり、血液凝固因子が肝臓で作られなくなることで血が止まりにくくなったり、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)といった症状が表れます」(泉氏)

肝硬変の主な症状の例
肝硬変の主な症状の例

 ブル中野さんの記事を読むと、腹水が溜まったり、大腸ポリープを切除した際に出血が止まらなかったりするなどの症状が出たことが分かる。

 そして、その影響は脳にも出てくる。

 「肝臓が働かなくなると、アンモニアが十分に分解されなくなり、脳へと回ってしまいます。それによりもうろうとしたり、計算ができなくなったり、人の特定ができなくなったり、ひどくなると車の運転ができなくなったりもします。これを『肝性脳症』と言います」(泉氏)

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