60歳未満の現役世代の人たちが脳梗塞を発症するリスクには血液型による違いがあり、A型の人で高く、O型の人で低いことが、米国で行われた研究(*1)で明らかになりました。背景には、血液型ごとに異なる血栓(血の塊)形成のしやすさが関与している可能性があります。

血液型によって60歳未満の脳梗塞リスクに違いがあることが明らかになりました。(写真=PIXTA)
血液型によって60歳未満の脳梗塞リスクに違いがあることが明らかになりました。(写真=PIXTA)

早期発症の脳梗塞患者にはA型が多く、O型が少ない

 血液型と脳梗塞の関係についてはこれまでにも報告がありましたが、分析対象になった患者の多くが高齢者でした。脳梗塞の危険因子としては、喫煙、飲酒、肥満、血糖値や血中脂質(コレステロールや中性脂肪)量の異常、高血圧などが知られています。こうした危険因子の保有率は若い世代より高齢者の方が高いことから、米Maryland大学などの研究者たちは、「遺伝的な背景が関係する脳梗塞は、若い世代に多く発生しているのではないか」と考えました。そこで、これまでに報告されているゲノム解析データを利用して、60歳未満の脳梗塞発症と血液型の関係を検討することにしました。

 著者らはまず、18歳から59歳で脳梗塞を発症した患者を対象に、全ゲノム関連解析を行っていた48件の研究を選出。合計で1万6730人の発症者(アフリカ系990人、欧州系1万1114人、ヒスパニック系189人、アフリカ系カリブ人230人、アジア系4207人)と、その年代で脳梗塞を発症していなかった対照群59万9237人のデータを得て、分析を行いました。

 その結果、2つの一塩基多型(*2)が早期発症の脳梗塞と関係することが示されました。それらは、血液型がA型またはO型になることを決定する遺伝子のうち、サブタイプA1型とO1型の遺伝子上に存在していました。

 これらの多型が存在する領域はいずれも、60歳以上で発症する高齢期の脳梗塞より、60歳未満で発症する早期の脳梗塞と強力に関係していました。

 そこで著者らは、早期発症の脳梗塞患者5825人と高齢期発症の脳梗塞患者9269人、および脳梗塞を発症していない対照群2万9320人を対象として、個々の血液型の人が占める割合を比較しました。すると、早期発症の脳梗塞患者にはA型が多く、高齢期発症の脳梗塞患者と対照群のどちらと比較してもその割合は有意に高くなっていました。逆に、早期発症の脳梗塞患者にはO型が少なく、高齢期発症の脳梗塞患者および対照群と比較しても、その割合は有意に低くなっていました。なお、高齢期発症の脳梗塞患者と対照群の比較では、A型の人の割合に差はなく、O型の人は高齢期発症の脳梗塞患者において有意に少ないことも明らかになりました。

*1 Jaworek T, et al. Neurology. 2022 Aug 31;99(16):e1738-e1754.
*2 多型とは、集団の遺伝子配列を比較したときに、1%以上の人に見られる変化(多様性)のこと。その変化が1個の塩基の置換である場合に「一塩基多型」と言う。

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